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コールセンターのカスハラ|オペレーターを守る対応履歴とケアの設計

2026-09-24

コールセンターのカスハラ|オペレーターを守る対応履歴とケアの設計

カスハラの電話を切ったあと、その通話を受けたオペレーターに何をするかは決まっているでしょうか。切電の判断だけが議論されがちですが、改正法が事業主に求めている措置は、切ったあとにも続きます。

被害を受けた従業員への配慮は、2026年10月から事業主が講じなければならない措置の1つです。安全の確保と精神面への配慮の2つが、厚生労働省の指針に明記されています。

本記事では、電話窓口でこの措置をどう具体化するかを整理します。あわせて、事実確認と再発防止の材料になる対応履歴の残し方まで見ていきます。

▶ 関連記事:クレーマー対応はどこで線を引く?打ち切りの基準と記録の残し方

1. 電話を切ったあとの対応まで決めておく

厚生労働省の指針は、カスハラが起きたあとの対応を3つの措置に分けています。事実確認、被害者への配慮、再発防止です。切電はこの手前の話で、措置はそこから始まります。

措置中身電話窓口での姿
⑤ 事実関係を迅速かつ正確に確認する相談者や周囲からの聴取、録音等の客観的な証拠の確認対応履歴を読み、必要なら録音に当たる
⑥ 被害者に対する配慮のための措置を適正に行う安全の確保と精神面への配慮通話から離す、専門家につなぐ
⑦ 再発防止に向けた措置を講ずる方針の再周知、事例の共有・活用対応手順の見直しに使う

カスハラ発生後の3つの措置と電話窓口での姿

見落とされやすいのが⑦の適用範囲です。改訂版は、従業員から相談窓口への相談があったものの、カスハラが生じた事実が確認できなかった場合も、同様の措置を講ずる必要があるとしています。「カスハラとまでは言えなかった」で終わらせる運用は、この求めから外れます。

なお、どこで対応を打ち切るかという線引きそのものは、本記事の範囲外です。頻度と時間の決め方は、冒頭に挙げた関連記事で整理しています。

(出典:カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)|厚生労働省

2. まずは、電話を代わる

改訂版が挙げる安全確保の措置は4つです。現場監督者が顧客等対応を代わる、顧客等から当該従業員を引き離す、担当者変更や複数人対応を行う、状況に応じて警察への通報や弁護士との連携を取る。

対面の店舗を想定した書き方ですが、電話窓口にも素直に置き換えられます。

改訂版の措置電話窓口での具体化
現場監督者が対応を代わるスーパーバイザーへ転送し、以降はSVが応対する
顧客等から引き離す通話を終了し、同じ相手からの再架電は別の担当に回す
担当者変更や複数人対応モニタリングで同席する、2人体制で受ける
警察への通報、弁護士との連携脅迫等に当たる発言があった場合の連絡先を決めておく

ここで決めておく価値が高いのは、転送を「受ける側」の体制です。 転送してよいと現場に伝えても、受け手が塞がっていれば戻ってきます。誰が、どの時間帯に、何件まで引き取れるのかを決めていないと、ルールは動きません。

改訂版が紹介する裁判例にも、同じ論点が出てきます。コミュニケーターが上司であるスーパーバイザーへ、転送指示を待たずに転送できると認められていました。この点が、安全配慮義務違反を否定する事情の1つになっています(東京高裁 令和4年11月22日判決)。

誰が・どの条件で・何をしてよいかを書いておく話は、カスハラ対応マニュアルの作り方で扱っています。

3. メンタルケアの配慮と相談先の用意

改訂版は、安全を確保するだけでは足りない場合があるとしています。顧客等からの言動によってメンタルヘルス不調の兆候がある場合の対応です。産業医や産業カウンセラー、臨床心理士等の専門家に相談対応を依頼してアフターケアを行う。または専門の医療機関への受診を促す、と書かれています。あわせて、定期的なストレスチェックで状況を確認することも挙げられています。

実務で詰まるのは、兆候に気づいた人が次にどこへつなぐかです。産業医の名前も、面談の申し込み方も知らない状態では、上司は「大丈夫か」と声をかけて終わります。つなぐ先と申し込み方を、事案が起きる前に手順へ書いておきます。

電話窓口の現場では、メンタルケアの制度が届きにくい人がいる

コールセンターはシフト制で、短時間勤務や業務委託の担当者が混ざる体制が一般的です。この場合、次の2つが起きます。

  1. 産業保健の対象範囲が担当者ごとに違う:直接雇用と業務委託で使える制度が異なります。誰がどの窓口を使えるのかを整理しておかないと、いざというときに案内できません
  2. 兆候を見ている人が固定されない:日によって管理者が替わると、前日の様子と比べる人がいなくなります。対応記録に「どんな通話だったか」を残しておくと、シフトをまたいでも引き継げます

離職の要因としてのカスハラはコールセンターの離職率はなぜ高い?原因と定着率を上げる方法を解説でも触れています。

オペレーターを守る体制の設計から相談したい場合は、お気軽にお問い合わせください

精神面への配慮でつなぐ先を事前に決めておく

4. 録音を聞き直さなくても判断できる形にする

改訂版は、事実関係を確認する際に録音・録画等の客観的な証拠で相談者とともに確認すると、状況をより正確に把握できるとしています。もっとも、電話窓口で録音していること自体は珍しくありません。詰まるのは、録音はあるのに使われないところです。

音声のまま置いておくと、次のことが起きます。

  1. 確認に実時間がかかる:30分の通話を確かめるには30分要ります。どのあたりで何が起きたかを探す手間も別に乗ります
  2. 共有先が限られる:法務や人事に判断を仰ぐとき、音声ファイルは渡しにくく、受け取る側も聞く時間を取られます
  3. 必要な部分だけ切り出せない:範囲を絞って共有したくても、音声のままでは扱いに困ります

そこで、通話のたびに要点をテキストの対応履歴として残す運用にします。音声は原本として保存し、日々の判断は履歴を読んで行う、という二段構えです。残す項目は改訂版の「対応状況確認事項(例)」がそのまま使えます。様式の決め方はカスハラ対応マニュアルの作り方で整理しています。

読める形で残しておくと、措置⑤の事実確認だけでなく、措置⑦の再発防止にも回せます。改訂版は再発防止のところで、事案の内容や対応経緯を記録し、被害を受けた従業員のプライバシーも含め、個人情報の取扱いに留意して関係部門に共有する、としています。共有が前提である以上、共有できる形で残すのが先です。

なお改訂版は、録音・録画に当たって個人情報の保護に関する法律等を遵守し、顧客等の個人情報を適切に取り扱うことを脚注で求めています。テキストの対応履歴も同じ配慮の対象です。

▶ 関連事例:24時間365日AIで回答が可能に。お待たせしないサポートを目指して|株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ

証拠として残す観点からの整理は【義務化対応】カスハラは訴えられる?証拠の残し方と判断基準の作り方にまとめています。

5. 電話の総量から減らす「GMO即レスAI for CS」

ここまでの措置は、カスハラが起きたあとの話です。件数そのものを減らせれば、オペレーターがさらされる機会も減ります。

GMO即レスAIは、AIチャットボットの導入効果を最大化する導入支援サービスです。CS業務に特化した「GMO即レスAI for CS」では、AIが一次対応を受け持ち、よくある問い合わせがオペレーターに届く前に解決します。人の対応が必要な場面では、会話の文脈を保ったまま有人チャットへ切り替わり、チケットとして一元管理できます。やり取りはそのままログとして残るため、あとから事実確認する材料も揃います。

設計の土台には、GMOペパボが778万人以上の顧客対応で培ったCS(カスタマーサポート・サクセス)運営の知見があります。CS出身のメンバーが、対応フローの設計から運用の立ち上げまで伴走します。

一方で、通話録音の仕組みそのものや、産業保健との連携は、CTIや人事の領域です。AIで完結する部分ではありません。向いているのは、電話に集中している問い合わせをWebやチャットへ振り分けたい企業です。

6. コールセンターのカスハラに関するよくある質問(FAQ)

Q. カスハラを受けたオペレーターへのケアは義務ですか?
A. 義務です。厚生労働省の指針は、被害者に対する配慮のための措置を適正に行うことを事業主が講ずべき措置として定めています。安全の確保と精神面への配慮の2つが挙げられています。

Q. カスハラかどうか判断がつかなかった場合も対応は必要ですか?
A. 必要です。改訂版は、相談があったもののカスハラが生じた事実が確認できなかった場合も、再発防止に向けた措置を同様に講ずる必要があるとしています。

Q. 録音していれば、対応履歴は残さなくてもよいですか?
A. 録音は原本として有効ですが、確認のたびに聞き直すことになります。改訂版は事案の内容や対応経緯を記録して関係部門に共有するよう求めているため、共有できる形でも残しておくほうが実務は回ります。

Q. 業務委託のオペレーターも対象になりますか?
A. 使える制度は雇用形態で異なります。まず自社で誰にどの窓口を案内できるのかを整理し、委託先がある場合は委託先側の体制とあわせて確認してください。

Q. 電話を切る基準はどう決めればよいですか?
A. 本記事の範囲外です。頻度と時間の決め方、打ち切りまでの段階はクレーマー対応はどこで線を引く?打ち切りの基準と記録の残し方で整理しています。

7. オペレーターを守る体制づくりにお悩みではありませんか?

「切ってよいとは伝えたが、そのあとのフォローが決まっていない」「録音はあるが、確認のたびに聞き直していて回らない」。施行日を前に、こうした相談が増えています。

GMO即レスAIでは、問い合わせ対応の設計から、あとで振り返れる記録づくりまで、CS出身のメンバーが伴走します。電話に集中している問い合わせをどう振り分けるかから、ご相談ください。

▶ カスハラ対策の体制づくり・AI活用のご相談はこちら

最後までお読みいただきありがとうございました。

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