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【カスハラの定義3要素】該当する言動の例と判断のしかたを解説

2026-09-14

【カスハラの定義3要素】該当する言動の例と判断のしかたを解説

カスハラの定義は、法令上の3つの要素で決まっています。3つをすべて満たすものだけがカスハラであり、ひとつでも欠ければ該当しません。

ところが、定義が公表されていても現場の判断は割れます。企業がハラスメント対策で最も多く挙げる課題は「ハラスメントかどうかの判断が難しい」ことです。難所は定義を知ることではなく、目の前の1件に当てはめるところにあります。

本記事では、3要素それぞれの中身と、判断が割れやすい2つ目の要素の見方を整理します。そのうえで正当なクレームとの分かれ目、電話やチャットでの当てはめ方まで順に見ていきます。

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1. カスハラの定義は「3つの要素をすべて満たすもの」

職場におけるカスタマーハラスメントとは、次の3つの要素をすべて満たすものをいいます。ひとつでも満たさない場合は、カスハラには当たりません。

  1. 職場において行われる顧客等の言動であること
  2. 労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして、社会通念上許容される範囲を超えたものであること
  3. それにより労働者の就業環境が害されること

電話やSNS等のインターネット上で行われるものも含まれます。一方で、顧客からの苦情のすべてが該当するわけではありません。障害のある方が不当な差別的取扱いをしないよう求めることや、社会的障壁の除去を必要としている旨を表明すること自体も、カスハラには当たらないと示されています。

(出典:令和8年10月1日から、カスタマーハラスメント対策、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が義務化されます!|厚生労働省

カスハラの定義を構成する3つの要素

①「顧客等」は、いま取引がある相手だけではない

範囲は広く取られています。顧客や取引の相手方に加え、駅・空港・病院・学校・福祉施設・公共施設などの利用者、その他事業に関係を有する者が含まれます。今後商品の購入やサービスの利用等をする可能性がある者も対象です。

指針が挙げる例には、問い合わせをする人、取引先の担当者、契約締結に向けた交渉の担当者、施設やサービスの利用者とその家族、施設の近隣住民が並びます。まだ契約していない見込み客からの問い合わせも、この範囲に入ります。

③「就業環境が害される」は、業務への支障で見る

3つ目の要素は、担当者が不快に感じたかどうかではありません。その言動により身体的または精神的な苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなった状態を指します。そのうえで能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど、就業する上で看過できない程度の支障が生じることが求められます。

「嫌な思いをした」だけでは足りず、業務が回らなくなる水準に達しているかを見ます。この水準の置き方が、次の章で扱う判断の割れどころにつながります。

2. 判断が割れるのは②「社会通念上許容される範囲を超えた言動」

3要素のうち、実務で迷うのは2つ目です。ここは言動の内容と手段や態様の2系統で見ます。指針は、それぞれの典型例を次のように挙げています。

観点社会通念上許容される範囲を超える典型例
内容そもそも要求に理由がない、または商品・サービス等と全く関係のない要求/契約等により想定しているサービスを著しく超える要求/対応が著しく困難な、または対応が不可能な要求/不当な損害賠償要求
手段・態様身体的な攻撃(暴行、傷害等)/精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言、土下座の強要等)/威圧的な言動/継続的、執拗な言動/拘束的な言動(不退去、居座り、監禁)

片方だけでも該当し得る

見落とされやすいのはここです。要求の内容が正当でも、伝え方が度を越していればカスハラに当たり得ます。逆も同じ。口調が穏やかでも、契約範囲を著しく超える要求を続けていれば該当します。厚生労働省の指針も、「言動の内容」と「手段や態様」の一方のみが社会通念上許容される範囲を超える場合でも該当し得ると明記しています。「言い方は丁寧だから」「こちらにも非があるから」で判断を止めないこと。ここが分かれ目です。

同じ言動でも、状況によって結論が変わる

判断にあたっては、次の要素を総合的に考慮するのが適当とされています。

  • 言動の目的
  • 言動が行われた経緯や状況(労働者側の問題行動の有無や内容・程度を含む)
  • 業種・業態、業務の内容・性質
  • 言動の態様・頻度・継続性
  • 労働者の属性や心身の状況
  • 行為者との関係性

つまり、行為の名前だけで機械的に仕分けることはできません。同じ「大声を出した」でも、一度きりか繰り返しか、こちらの説明不足が発端かどうかで結論は変わります。線引き表を配るだけでは足りません。判断のもとになる状況を記録し、後から見比べられるようにしておくのが実務的です。

3. 正当なクレームとの線引き|3つの分かれ目

前章までを実務の手順に落とすと、見るべきは次の3点です。この順に当てると、迷いが減ります。

  1. 要求に理由があるか:自社の商品やサービスに関係し、契約の範囲内に収まる要求か
  2. 伝え方が相当か:暴言・威圧・執拗な連絡・長時間の拘束が伴っていないか
  3. 業務に看過できない支障が出ているか:担当者が対応を続けられない、他の業務が止まるといった実害があるか

1と2は、どちらか一方だけが相当性を欠く場合でもカスハラに当たり得ます。3は逆で、満たされて初めて該当するという関係です。3つをまとめず、別々に確認するのが要点です。

正当なクレームと分ける3つの確認

「判断が難しい」の正体は、基準の不在

厚生労働省の実態調査で、企業にハラスメント対策の課題を聞いた結果を見てみます。最も多かったのは「ハラスメントかどうかの判断が難しい」で、回答した企業の59.6%を占めます。次点の「管理職の意識が低い/理解不足」と「発生状況を把握することが困難」(同率23.8%)を大きく引き離しています。

同じ調査によると、過去3年間に顧客等からの著しい迷惑行為について相談があった企業は27.9%で、令和2年度の調査から8.4ポイント増えています。そして相談があった企業のうち86.8%が、実際に該当すると判断した事例を持っています

相談として上がってきた事案の多くは、最終的に判定までたどり着いているわけです。つまり「判断が難しい」という課題は、判断できない事案が多いという意味ではありません。判断の基準が事前に用意されておらず、担当者が1件ずつ考え込む状態になっていることを指します。

(出典:職場のハラスメントに関する実態調査 結果概要(令和5年度厚生労働省委託事業)|厚生労働省

先に基準を決めておけば、担当者は1件ずつ悩まずに当てはめるだけで済みます。線を越えた後にどう対応を打ち切るかは、クレーマー対応はどこで線を引く?打ち切りの基準と記録の残し方で扱っています。基準づくりの進め方から相談したい場合は、お気軽にお問い合わせください

4. 電話・メール・チャットでは、当てはめに使える材料が違う

非対面のカスタマーサポートでは、チャネルごとに残る記録の量が違います。この差が、そのまま判断の精度を左右します。

同じ厚生労働省の実態調査によると、労働者が受けた行為のうち拘束的な言動(不退去、居座り、監禁、長電話等)は15.8%でした。ところが電話は、通話録音を運用していなければ音声が残りません。「長かった」という担当者の記憶しか手がかりがない状態になります。一方、メールやチャットは本文がそのまま履歴になります。総合考慮の要素に態様・頻度・継続性が含まれる以上、履歴が残るチャネルほど当てはめの根拠を揃えやすくなります

(出典:職場のハラスメントに関する実態調査 結果概要(令和5年度厚生労働省委託事業)|厚生労働省

基準を社外に公開しておくという選択

自社の基準をあらかじめ外に示しておく方法もあります。GMOペパボが運営するロリポップでは、2024年10月3日にカスタマーハラスメントに関する対応ポリシーを公開しました。対象となる具体例を13項目挙げたうえで、「対象についてはこれらに限るものではありません」と添えています。該当する行為があると判断した場合には、サービスの提供やカスタマーサポートの対応をお断りする場合があるとしています。悪質と判断した場合に警察や弁護士へ相談したうえで対処することも、あわせて明記しています。

(出典:カスタマーハラスメントに関する対応ポリシーについて|ロリポップ!レンタルサーバー

社外に示しておくと、現場が都度ゼロから線を引かずに済みます。GMOペパボでも、判定を担当者の主観だけに委ねず、共通の基準で記録に残す運用を取り入れています。線引きを超えた事案は、関係する各サービスの担当者が集まって対応を検討する場で決めています。

ヘッドセットで電話対応しながらモニターの履歴を確認するカスタマーサポート担当者

判断材料を揃えるのと同時に、担当者が向き合う件数そのものを減らす打ち手もあります。

▶ 関連事例:問い合わせ数1.3倍に増加しても増員なく対応|シェアフル株式会社様

5. 判断の材料が自然に残る「GMO即レスAI for CS」

基準を決めても、当てはめる材料がなければ運用は回りません。ここを支えるのがAIチャットボットの一次対応です。

GMO即レスAIは、AIチャットボットの導入効果を最大化する導入支援サービスです。CS業務に特化した「GMO即レスAI for CS」では、AIが一次対応を受け持ち、やり取りはそのままログとして残ります。人の対応が必要な場面では、会話の文脈を保ったまま有人チャットへ切り替わり、チケットとして一元管理できます。頻度や継続性を後から確認できる状態が、通常の対応の延長でできあがります。

設計の土台には、GMOペパボが778万人以上の顧客対応で培ったCS運営の知見があります。CS出身のメンバーが、対応フローの設計から記録が残る運用の立ち上げまで伴走します。

モニターの対応履歴を見ながら判断基準をすり合わせるカスタマーサポート担当者

一方で、店頭での居座りや身体的な行為への備えは、AIだけでは完結しません。そこは警備や防犯体制との組み合わせが中心になります。向いているのは、電話・メール・Webでの問い合わせが多く、同じ内容の対応が繰り返し発生している企業です。

6. カスハラの定義に関するよくある質問(FAQ)

Q. カスハラと正当なクレームの違いは何ですか?
A. 要求に理由があるか、伝え方が社会通念に照らして相当か、業務に看過できない支障が出ているかの3点で分かれます。改善を求める正当な指摘は、内容にも伝え方にも相当性があるため、カスハラには当たりません。

Q. 「社会通念上許容される範囲」は誰がどう決めるのですか?
A. 言動の目的、経緯や状況、業種・業態、頻度や継続性、行為者との関係性などを総合的に考慮して判断します。一律の基準はないため、自社の業務内容に合わせて判断の目安を決め、記録と照らし合わせる運用が必要です。

Q. カスハラ防止条例がある自治体では、定義が変わりますか?
A. 条例と法律は目的も対象も異なります。両者の違いはカスハラ条例で企業が見落としがちな3つの盲点で整理しています。

Q. 厚生労働省の定義をそのまま社内規程に使ってよいですか?
A. 出発点としては問題ありません。ただし3要素は抽象度が高いため、自社の商品やサービスで実際に起きる要求に当てはめた具体例を足すと、現場が判断しやすくなります。就業規則や規程として整える場合や、個別の事案で法的な判断が必要な場合は、弁護士に確認してください。

Q. 電話やチャットでのやり取りも対象になりますか?
A. 対象です。電話やSNS等のインターネット上で行われるものも含まれると明記されています。対面の場面に限った話ではありません。

7. カスハラの線引きにお悩みではありませんか?

「基準は作ったが、現場から上がってくる1件ごとに結局悩んでいる」「電話でのやり取りが記録に残らず、判断の根拠を示せない」。2026年10月の義務化を前に、こうした課題を抱える担当者が増えています。

GMO即レスAIでは、問い合わせ対応の設計から、判断材料が自然に残る運用の立ち上げまで、CS出身のメンバーが伴走します。何から手をつけるかを整理する段階からご相談ください。

▶ カスハラの判断基準づくり・CS体制のご相談はこちら

最後までお読みいただきありがとうございました。

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