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【業種別】カスハラ事例まとめ|厚労省の実態調査と裁判例から読む

2026-09-10

【業種別】カスハラ事例まとめ|厚労省の実態調査と裁判例から読む

「うちの業種でも起きているのか」「他社ではどんなことが起きているのか」。カスハラ対策を任されたとき、まず知りたいのは具体的な事例ではないでしょうか。

ただし事例集を眺めるだけでは、自社が何を整えればよいかは見えてきません。本記事ではまず、厚生労働省の実態調査で業種ごとの発生状況を押さえます。そのうえで12社へのヒアリングでわかった類型別の実例、賠償責任の有無が分かれた2つの裁判例を順に見ていきます。最後に、そこから逆算して整えるべき備えを4つに整理します。

▶ 関連記事:【2026年義務化】カスハラ対策の完全ガイド|コールセンターを守るAI活用法

1. カスハラはどの業種で起きているか

まず全体像です。厚生労働省の「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査」によると、労働者が過去3年間に顧客等からの著しい迷惑行為を一度以上経験した割合は10.8%でした。パワハラ(19.3%)に次いで多く、セクハラ(6.3%)を上回ります。

接客の頻度が高い業種ほど、経験割合が高い

業種別に見ると、上位は次のとおりです。

業種経験した割合
生活関連サービス業、娯楽業16.6%
卸売業、小売業16.0%
宿泊業、飲食サービス業16.0%
(全体)10.8%

同調査は、接客頻度が高いほど経験した割合が高いとしています。接客の機会がある業種なら、どこでも起こりうるということです。なお、ここからは別の指標になります。対策の取組を進めている企業の割合が高い業種としては、一般消費者との接触頻度が高い「医療、福祉」「金融業、保険業」「宿泊業、飲食サービス業」が挙げられています。

企業が把握している事案は「執拗さ」が突出

企業側の回答も見てみます。過去3年間にカスハラに該当すると判断した事案があった企業では、その内容として「継続的な、執拗な言動」が72.1%で最も多くなりました。行為者と被害者の関係は「顧客等から自社従業員へ」が91.6%を占めます。

損害や被害の内容で最も多かったのは「通常業務の遂行への悪影響」で63.4%でした。カスハラは従業員の心身の問題であると同時に、業務が止まるという経営上の問題でもあります。

(出典:令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)|厚生労働省

業種別のカスハラ経験割合と、企業が把握した事案の内訳

2. 類型別に見るカスハラ事例|厚生労働省が12社に聞いた実例

次に、実際に起きた行為を見ていきます。厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」は、顧客と接することの多い業種の企業12社にヒアリングを行っています。対象は小売業・運輸業・飲食サービス業・宿泊業などで、確認された行為が類型ごとに挙げられています。

店舗・対面の現場で起きていること

類型実際に確認された行為
時間拘束一時間を超える長時間の拘束、居座り/業務に支障を及ぼす行為
リピート頻繁に来店し、その度にクレームを行う/複数部署にまたがる複数回のクレーム
暴言店内で大きな声をあげて秩序を乱す/大声での恫喝、罵声、暴言の繰り返し
正当な理由のない過度な要求言いがかりによる金銭要求/難癖をつけたキャンセル料の未払い、代金の返金要求/備品を過度に要求する(歯ブラシ10本要望する等)/運行ルートへのクレーム、それに伴う遅延への苦情
脅迫物を壊す、殺すといった発言による脅し/反社会的な言動
権威型優位な立場にいることを利用した暴言、特別扱いの要求
セクハラ特定の従業員へのつきまとい/わいせつ行為や盗撮
その他事務所(敷地内)への不法侵入/正当な理由のない業務スペースへの立ち入り

宿泊施設で挙がりそうな「備品を過度に要求する」、交通機関で挙がりそうな「運行ルートへのクレーム」のように、要求の中身は業種ごとの事情を映します。一方で、時間拘束・リピート・暴言といった型そのものは業種を問わず共通しています。

電話・オンラインの現場で起きていること

同じヒアリングには、対面を伴わない行為も含まれています。

  • 長時間の電話/度重なる電話
  • 大声、暴言で執拗にオペレーターを責める
  • 電話対応での揚げ足取り
  • 同じ質問を繰り返し、対応のミスが出たところを責める
  • 当初の話からのすり替え、揚げ足取り、執拗な攻め立て
  • インターネット上の投稿(従業員の氏名公開)
  • SNSやマスコミへの暴露をほのめかした脅し

GMO即レスAIの担当にも、CS(カスタマーサポート・サクセス)の現場でこうした場面を一通り経験してきたメンバーがいます。とくに揚げ足取りは、丁寧に答えようとするほど言葉尻の材料が増えていきます。相手の顔が見えないぶん、どこまでが正当な指摘でどこからが攻撃なのか、受けている本人にも判断がつかなくなります。

同マニュアルは、確認された行為の傾向として、正当な理由がなく過度に要求する事案や、対応者の揚げ足を取って困らせる事案が多く見られたとまとめています。直接的な暴力行為は多くはなかった一方、一部に不法侵入や脅迫など刑法犯の可能性がある行為も見受けられたとのことです。

(出典:カスタマーハラスメント対策企業マニュアル|厚生労働省

電話やオンラインでは、相手の姿が見えないぶん記録が頼りになります。非対面での線引きと記録の残し方は、クレーマー対応はどこで線を引く?打ち切りの基準と記録の残し方で扱っています。

3. 対応の成否で結果が分かれた2つの裁判例

事例を読む目的は、他社の不幸を知ることではありません。同じような場面で、自社の対応がどう評価されるかを知ることです。同マニュアルは、企業の責任が問われた裁判例と、問われなかった裁判例を並べて紹介しています。

裁判例①:賠償責任が認められた例

市立小学校の教諭が児童の保護者から理不尽な言動を受けた事案です。校長は教諭の言動を一方的に非難し、事実関係を冷静に判断して的確に対応しませんでした。その勢いに押され、専らその場を穏便に収めるために教諭へ保護者への謝罪を求めています。

この対応が不法行為と判断され、小学校を設置する甲府市と教員の給与を支払う山梨県が損害賠償責任を負うとされました(甲府地判平成30年11月13日)。学校の事案ですが、同マニュアルは一般企業の事例に類似するものとして収録しています。

その場を早く収めようとして従業員に謝らせるという判断は、どの業種の現場でも起こりえます。

裁判例②:賠償責任が認められなかった例

買い物客とトラブルになった小売店の従業員が、会社は安全を確保する配慮を欠いたとして損害賠償を求めた事案です。

これに対し会社側は、次の3点を示しました。苦情を申し出る顧客への初期対応を、入社テキストを配布して指導していたこと。サポートデスクや近隣店舗のマネージャー等に連絡できるようにしていたこと。深夜も店舗を2名体制にしていたことです。相談体制が十分に整えられていたと認められ、安全配慮義務違反は否定されています(東京地判平成30年9月3日)。

分かれ目は「その場の判断」か「事前の備え」か

2件の差は、対応した人の能力ではありません。事案が起きる前に何を用意していたかです。

責任が認められた例認められなかった例
対応の起点その場を穏便に収めることあらかじめ定めた初期対応
現場の後ろ盾なし(上長が従業員を非難)連絡先と複数人体制
判断の主体その場にいた管理者会社が事前に整えた仕組み

同じトラブルから、対応の違いで賠償責任の有無が分かれた流れ

法的措置に進む場合の証拠の残し方は、【義務化対応】カスハラは訴えられる?証拠の残し方と判断基準の作り方で解説しています。

4. 事例から逆算して、いま整える4つのこと

裁判例②で会社が示せたのは、特別なものではありません。同マニュアルが挙げる企業の取組事例に沿って、4つに整理します。

1. 事実確認の手段を先に用意する

録音や録画を管理者とともに確認して状況を把握する、運行中の事案は動画で確認するといった取組が挙げられています。あとから確認できる形にしておくのが要点です。

2. 行為者への対応を誰が決めるか決めておく

責任のある立場の者から帰ってもらう旨を伝える、出入り禁止を通告するといった対応例が示されています。現場の担当者が一人で切り出す形にしないことが、裁判例①との分かれ目でした。

3. 従業員への配慮を「事後」にしない

安全の確保として、監督管理者が対応を代わり顧客から従業員を引き離す方法が挙げられています。精神面では、産業医や産業カウンセラー等の専門家に相談対応を依頼する方法が示されています。うまく対応できた担当者を表彰するなど、前向きな形で称える取組を行っている企業もあります。

4. 事例を共有して再発を防ぐ

事案が起きたときに現場へ注意喚起をする、社内事例を検証してマニュアルや研修の見直しに役立てる、といった取組です。発生した事案にただ対応するだけでは、同じことが繰り返されます。

整えることには、目に見える効果があります。先の実態調査では、カスハラを受けた後の行動として「社内の上司に相談した」が38.2%で最も多く、「何もしなかった」が35.2%で続きました。そして勤務先の取組への評価が高いほど「相談した」割合が高く、「何もしなかった」割合が低くなっています。備えは、従業員が声を上げられるかどうかを左右します。

事例から逆算する4つの備え(残す・決める・守る・配る)

初動の具体的な進め方は、カスハラ対応はどうすればいい?現場を守る初動フローと言い回し例で扱っています。

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5. 電話の総量から減らす「GMO即レスAI for CS」

事例を見てわかるのは、対応の質を上げるだけでは追いつかないということです。長時間の電話や度重なる電話は、そもそも電話を受ける件数を減らさなければなくなりません。

GMO即レスAIは、AIチャットボットの導入効果を最大化する導入支援サービスです。CS業務に特化した「GMO即レスAI for CS」では、AIが一次対応を受け持ち、やり取りはそのままログとして残ります。人の対応が必要になった場面では、会話の文脈を保ったまま有人チャットへ切り替わり、チケットとして一元管理できます。

実際に電話が減った例があります。Fukuoka Growth Next様では、導入1ヶ月で電話対応にかかる時間が80%減少しました。官民共働型のスタートアップ支援施設で、基本的な内容をあらかじめAIチャットボットで解決してから電話する方が増えたことが理由として挙げられています。設計の土台には、GMOペパボが778万人以上の顧客対応で培ったCS運営の知見があります。

一方で、店頭での居座りや身体的な行為への備えは、AIだけでは完結しません。そこは警備や防犯カメラとの連携が中心になります。向いているのは、電話・メール・Webでの問い合わせが多く、同じ内容の対応が繰り返し発生している企業です。

6. カスハラ事例に関するよくある質問(FAQ)

Q. カスハラが起きやすい業種はどこですか?
A. 厚生労働省の実態調査では、生活関連サービス業・娯楽業(16.6%)、卸売業・小売業(16.0%)、宿泊業・飲食サービス業(16.0%)が上位でした。接客頻度が高いほど経験割合が高くなります。

Q. 自社の事案がカスハラに当たるかは、どう判断しますか?
A. 要求内容に妥当性があるか、要求を実現する手段・態様が社会通念に照らして相当な範囲かの2点から判断します。事例と見比べるだけでなく、この2軸を自社の基準として決めておくことが必要です。

Q. コールセンターでは、どんな事例がありますか?
A. 長時間の電話、度重なる電話、電話対応での揚げ足取り、大声や暴言で執拗にオペレーターを責める行為が挙げられています。SNSへの投稿で従業員の氏名を公開された例もあります。

Q. 事例を社内で共有するときの注意点はありますか?
A. 同マニュアルは、プライバシーに配慮しつつ社内会議等で共有することを挙げています。個人が特定できない形に整えたうえで、類型化して共有すると再発防止に活かせます。

Q. 事例のような対応をした場合、企業が責任を問われることはありますか?
A. その場を収めるために従業員に謝罪させた事案では、賠償責任が認められています。判断は状況によって変わるため、個別のケースは弁護士に確認してください。

7. カスハラ事例をふまえた備えにお悩みではありませんか?

「他社の事例は読んだが、自社で何から手をつければよいかわからない」「電話が長引く事案が減らない」。2026年10月の義務化を前に、そうした課題を抱える担当者は少なくありません。

GMO即レスAIでは、問い合わせ対応の設計から記録が残る運用の立ち上げまで、CS出身のメンバーが伴走します。何から手をつけるかを整理する段階からご相談ください。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

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