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【10月1日施行】カスハラ対策の義務化で何をすればいい?準備の順番と措置義務

2026-09-15

【10月1日施行】カスハラ対策の義務化で何をすればいい?準備の順番と措置義務

2026年10月1日から、カスハラ対策は事業主の義務になります。罰則の規定はありません。ただし、措置を講じていない事業主が勧告に従わなかったときは、その旨を公表できると法律に定められています。

やるべきことは、厚生労働省の指針が示す10の措置に整理されています。整理されている内容は、精神論で述べられたような抽象的な心構えではなく、方針の明確化・相談窓口・事実確認・再発防止といった具体的な項目です。

本記事では、義務の中身と法的な担保のしかたを条文で確認したうえで、10の措置を1つずつ実務に落として考えていきます。あわせて、見落とされやすい取引先への対応まで整理します。

▶ 関連記事:【カスハラの定義3要素】該当する言動の例と判断のしかたを解説

1. 2026年10月1日から、カスハラ対策は事業主の義務になる

根拠は、2025年6月11日に公布された改正労働施策総合推進法(令和7年法律第63号)です。改正後の第33条第1項に、次の義務が新設されました。

事業主は、(中略)顧客等の言動であつて、その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、労働者の就業環境を害する当該顧客等言動への対応の実効性を確保するために必要なその抑止のための措置その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

施行日は政令で2026年10月1日と定められました。

(出典:令和7年労働施策総合推進法等一部改正法 新旧対照条文|厚生労働省

カスハラ対策義務化で定められた3つの義務の層

企業規模による猶予はない

パワーハラスメント対策が義務化された2020年の改正では、中小事業主に猶予が設けられ、一定期間は努力義務として扱われました。今回の改正法の附則には、同じような経過措置が置かれていません。 改正法の条文では組織規模に触れる内容がなく、規模を問わず、2026年10月1日から一律に義務がかかります。

(出典:令和7年労働施策総合推進法等一部改正法 条文・理由|厚生労働省

義務は3つの層に分かれている

同じ第33条のなかで、事業主に求められることが3段階になっています。この違いが、後述する公表の対象を分けます。

条項内容性質
第1項相談体制の整備、抑止のための措置その他の雇用管理上必要な措置義務
第2項相談したことなどを理由とする解雇その他の不利益な取扱いの禁止義務
第3項他の事業主から措置の実施に必要な協力を求められたときに応じること努力義務

2. 罰則はない。ただし勧告に従わなければ公表される

義務化の話で最初に聞かれるのが「守らないとどうなるか」です。順に見ていきます。

まず、この義務に罰則の規定はありません。過料や懲役といった制裁は定められていません。かわりに置かれているのが、行政指導と公表の仕組みです。厚生労働大臣は、法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して助言・指導・勧告ができます。

そして改正後の第42条第2項は、公表の対象として「第33条第1項及び第2項」を挙げています。カスハラの措置義務に違反している事業主が勧告を受け、それに従わなかったときは、その旨を公表できるという構造です。 罰金は科されませんが、対応していない企業として社名が公表される可能性があります。従業員の採用や取引先との関係を考えれば、罰則の有無だけで軽重を判断するのは危険です。

助言・指導・勧告から公表に至る流れと、公表の対象になる条項

努力義務は公表の対象に入っていない

同じ条文をよく読むと、公表対象に挙げられているのは第1項と第2項だけです。第3項の「他の事業主への協力」は入っていません。努力義務と義務で扱いが分かれており、どこまでが必ずやることで、どこからが努めることなのかが条文の書き方で示されています。自社の準備の優先順位も、この線に沿って決めるのが素直です。

(出典:新旧対照条文|厚生労働省

3. 着手順と措置について

指針が示す措置は10項目あります。方針の明確化・周知啓発、相談体制の整備、事後の迅速かつ適切な対応、抑止のための措置、そのほか併せて講ずべき措置の5つに整理されています。

区分措置
方針の明確化① カスハラには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発する
② カスハラの内容とあらかじめ定めた対処の内容を、労働者に周知する
相談体制③ 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知する
④ 相談窓口担当者が、適切に対応できるようにする
事後対応⑤ 事実関係を迅速かつ正確に確認する
⑥ 被害者に対する配慮のための措置を適正に行う
⑦ 再発防止に向けた措置を講ずる
抑止措置⑧ 特に悪質と考えられるカスハラへの対処の方針をあらかじめ定め、労働者に周知し、その対処を行うことができる体制を整備する
そのほか⑨ 相談者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者に周知する
⑩ 相談したことなどを理由として不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発する

(出典:2026年(令和8年)10月1日から、カスタマーハラスメント対策、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が義務化されます!|厚生労働省

10の措置義務を5つのグループに整理した一覧

既存のハラスメント対策の延長では埋まらない2項目

すでにパワハラ対策の体制がある企業なら、①③④⑤⑥⑦⑨⑩は流用できる部分が多くあります。一方で、カスハラ固有の設計が必要になるのが②「内容・対処を労働者へ周知すること」と⑧「抑止措置」です。

②は、方針を掲げるだけでは足りません。その場でどう動くかをあらかじめ決めて、労働者に伝えておくことまでを求めています。指針は、対処の内容として次の例を挙げています。

  • 管理監督者にその場の対応の方針について指示を仰ぐ
  • 可能な限り労働者を一人で対応させない
  • 犯罪に該当し得る言動は警察へ通報する
  • 本社・本部等へ情報共有を行い指示を仰ぐ

⑧は、悪質な事案への対処方針を事前に定め、実行できる体制まで整えることを求めています。パワハラ対策には行為者への措置がありますが、相手が顧客であるカスハラでは同じ手が使えません。かわりに置かれているのがこの抑止の措置です。

着手の順番は「方針 → 周知 → 窓口 → 記録」

10項目を同時に進める必要はありません。前の項目が次の前提になる順序があります。

  1. 方針を決める(①②):どこからがカスハラかの線と、その場での動き方を先に決める
  2. 労働者に周知する(①②⑩):決めた内容と、相談しても不利益がないことを伝える
  3. 窓口を整える(③④⑨):窓口を定め、担当者が判断に迷わない状態にし、プライバシーの扱いも決める
  4. 記録と振り返りを設計する(⑤⑥⑦⑧):事実確認に使える記録の残し方を決め、再発防止と悪質事案の対処につなげる

非対面のカスタマーサポートでは、4番目の記録が最初にボトルネックになりがちです。通話録音を運用していない電話は、担当者の記憶しか手がかりが残りません。⑤の事実確認と⑦の再発防止は、記録が残っていて初めて回ります。

小規模な組織でも仕組みで回している例があります。熊本県商工会連合会様は職員38名の体制で、未回答をレポートで把握してナレッジへ戻す改善サイクルを立ち上げました。何から手をつけるかを整理する段階から相談したい場合は、お気軽にお問い合わせください

4. 取引先からのカスハラと、他社から協力を求められたとき

見落とされやすいのが、対象は消費者に限らないという点です。指針の「顧客等」には、顧客だけでなく取引の相手方や取引先の担当者が含まれます。企業間の契約締結に向けた交渉の担当者も対象です。BtoBの事業でも、取引先からの言動が社会通念上許容される範囲を超えていれば、自社の従業員を守る措置が必要になります。

逆の立場も定められています。第33条第3項は、他の事業主から措置の実施に必要な協力を求められたときに、応じるよう努めなければならないとしています。自社の従業員が取引先の従業員に対してカスハラを行った場合、その取引先からの事実確認に協力する場面です。

指針は、この協力について望ましい取扱いも示しています。協力を求められたことを理由に契約を解除するなどの不利益な取扱いを行うことは、望ましくないとされています。あわせて、事実関係の確認に協力した労働者を不利益に取り扱わない旨を定め、周知・啓発することも望ましいとされています。

取引先とのやり取りの記録を確認するカスタマーサポート担当者

5. 10の措置を仕組みで満たす「GMO即レスAI for CS」

10項目のうち、記録と振り返りに関わる部分は、日々の運用の作り方で負荷が大きく変わります。

GMO即レスAIは、AIチャットボットの導入効果を最大化する導入支援サービスです。CS業務に特化した「GMO即レスAI for CS」では、AIが一次対応を受け持ち、やり取りはそのままログとして残ります。人の対応が必要な場面では、会話の文脈を保ったまま有人チャットへ切り替わり、チケットとして一元管理できます。⑤の事実確認に使える材料が、通常の対応の延長で揃う状態になります。

設計の土台には、GMOペパボが778万人以上の顧客対応で培ったCS運営の知見があります。CS出身のメンバーが、対応フローの設計から記録が残る運用の立ち上げまで伴走します。

一方で、方針の明確化や就業規則の整備そのものは、人事や法務の領域です。AIで完結する部分ではありません。向いているのは、電話・メール・Webでの問い合わせが多く、一次対応の記録づくりから手をつけたい企業です。

6. カスハラ義務化に関するよくある質問(FAQ)

Q. カスハラ対策を講じなかった場合、罰則はありますか?
A. 罰則の規定はありません。ただし、措置義務に違反している事業主が勧告を受け、それに従わなかったときは、その旨を公表できると定められています(改正後の第42条第2項)。

Q. 中小企業には猶予期間がありますか?
A. ありません。パワハラ対策の義務化では中小事業主に猶予が設けられましたが、今回の改正法の附則に同じような経過措置は置かれていません。2026年10月1日から規模を問わず義務がかかります。

Q. 自治体のカスハラ防止条例と、この義務化の関係は?
A. 条例と法律は目的も対象も異なります。両者の違いと二段構えの整え方はカスハラ条例で企業が見落としがちな3つの盲点で整理しています。

Q. 取引先からのカスハラも対象になりますか?
A. 対象です。指針の「顧客等」には取引の相手方や取引先の担当者が含まれます。企業間の交渉の担当者も含まれるため、BtoBの事業でも措置が必要です。

Q. 10月1日までに全部そろわない場合はどうすればよいですか?
A. 方針の明確化と周知から着手してください。①②は他の項目の前提になり、社内の判断のばらつきを最初に減らせます。個別の事案で法的な判断が必要な場合は、弁護士に確認してください。

7. 10月1日までの体制づくりにお悩みではありませんか?

「方針は作ったが、現場がその場でどう動くかまで決まっていない」「電話でのやり取りが記録に残らず、事実確認ができない」。施行日を前に、こうした課題を抱える担当者が増えています。

GMO即レスAIでは、問い合わせ対応の設計から、記録が残る運用の立ち上げまで、CS出身のメンバーが伴走します。10項目のどこから手をつけるかを整理する段階からご相談ください。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

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