AI電話の基礎ガイド|仕組み・できること・導入までの流れ
2026-10-09

AI電話とは、かかってきた電話にAIが音声で応対し、用件の聞き取りから回答、担当者への転送、通話後の記録までを受け持つ仕組みです。仕組みは「電話をつなぐ」「話す」「記録を残す」の3層に分けると整理できます。
AI電話への関心は急速に高まっています。背景にあるのは、生成AIの進化で音声の応対が自然になったことです。製品の呼び方も変わりつつあり、「ボイスボット」から「エージェント」へ名称を改めるサービスも出てきました。
一方で、製品ごとに受け持つ範囲が違い、何がどこまでできるのかは掴みにくい分野です。この記事では、仕組み・できること・導入前の注意点・導入の流れまでを1本にまとめます。
▶ 関連記事:電話AIエージェントとは?ボイスボット・IVRとの違いと導入の判断軸
1. AI電話とは
AI電話とは、電話の応対をAIが音声で行う仕組みの総称です。プッシュ操作ではなく話し言葉で用件を聞き取り、回答や手続き、担当者への取り次ぎまでを進めます。
呼び名は製品ごとにばらばらです。ボイスボット、AI IVR、AI電話自動応答、電話AIエージェント、AIオペレーター。いずれも同じ領域を指していて、違いはAIが受け持つ範囲に出ます。
| 呼び名 | AIが受け持つ範囲の目安 |
|---|---|
| AI IVR | 用件を音声で聞き取り、担当部署へ振り分ける |
| ボイスボット | 想定した定型用件に回答し、手続きまで進める |
| 電話AIエージェント | 用件に応じて次の行動を選び、通話後の記録まで行う |
※業界で統一された定義はありません。上の表は当社による整理です。
製品を比べるときは、名前ではなく受け持つ範囲で見ます。3つの違いは電話AIエージェントとは?ボイスボット・IVRとの違いと導入の判断軸で詳しく扱っています。
「AI電話代行」と呼ばれることもありますが、人が電話を受ける従来の電話代行とは仕組みが違います。電話代行は、外部のオペレーターが電話を受けて伝言を残す形です。AI電話は自社の電話番号にAIをつなぎ、受けた内容をデータとして残します。AIの一次対応で残った用件を、委託先のオペレーターが受ける組み合わせもあります。
2. AI電話の仕組み|つなぐ・話す・残すの3層
AI電話は「電話をつなぐ層」「話す層」「記録を残す層」の3つで動いています。仕組みの説明は真ん中の「話す層」に寄りがちですが、導入の工数と効果を左右するのは前後の2層です。

電話をつなぐ層(回線・PBX)
お客様がかけた電話を、AIまで届ける部分です。今の電話番号のままAIにつなぐには、社内の電話交換機(PBX)やクラウドPBXとの接続が要ります。AIで完結しない用件を人へ渡す転送も、電話をつなぐ層で行います。
接続の可否と工数は、PBXがクラウドかオンプレミスかで変わります。見積もりを取る前に、自社の電話環境を確認しておくと話が早く進みます。
話す層(音声認識・LLM・音声合成)
お客様と会話する部分で、3つの技術が順番に働きます。
- 音声認識:お客様の声をテキストに変換する
- LLM(大規模言語モデル):テキストから用件を理解し、返答や次の手続きを決める
- 音声合成:返答のテキストを音声にして読み上げる
LLMは、ChatGPTなどの生成AIと同じ種類の技術です。従来のボイスボットは、あらかじめ用意した想定問答に沿って答える形が中心でした。LLMを使うと、言い回しが想定と違っても用件を汲み取れます。聞き返しや相づち、話の途中での割り込みにも対応しやすくなりました。
下は、当社のGMO即レスAI電話が支払い方法を案内している音声です。
記録を残す層(要約・分類・システム連携)
通話が終わったあとの処理を受け持つ部分です。会話の要約、用件の分類、CRM(顧客管理システム)や予約システムへの書き込みを行います。担当者へ転送するときに、それまでの会話内容を添えるのも記録を残す層の役目です。
電話業務の負荷は、通話を切ったあとにも残ります。当社が電話業務の検討に使っているモデルケース(受電9人相当・月1万件)では、1件あたりの処理時間8.6分のうち、約65%が通話後の作業でした。
※受電9人相当・月1万件のモデルによる仮定例です。比率は業務によって変わります。
応答だけをAIにしても、記録が人の手に残れば残業時間は大きく変わりません。製品を見るときは、記録を残す層まで範囲に入っているかを確かめます。
3. AI電話でできること|受電・架電と業種別の使われ方
AI電話でできることは、かかってきた電話を受ける「受電」と、こちらからかける「架電」の2つに分かれます。
受電でできること
- 一次受付と取り次ぎ:代表電話で用件を聞き、担当部署や担当者へつなぐ
- よくある質問への回答:営業時間、手続きの方法、配送状況など
- 予約の受付・変更:日時を聞き取り、予約システムに登録する
- 時間外・混雑時の受け皿:夜間や休日、回線が埋まったときの電話を受ける
架電でできること
- リマインド:予約日や支払期日の案内
- 確認の連絡:アンケートや意向の確認
架電には対応しない製品もあります。検討の段階で、受電と架電のどちらが範囲に入っているかを確認します。
業種別の使われ方
代表電話に定型の問い合わせが集まりやすい業種ほど、AI電話に任せられる用件は多くなります。予約や手続きの案内のように、聞く項目と答えが決まっている用件が中心です。
| 業種 | よく任される用件 |
|---|---|
| 医療機関 | 診療予約の受付・変更、診療時間の案内 |
| 自治体 | 代表電話の取り次ぎ、手続き窓口の案内 |
| EC・通販 | 注文・配送状況の確認、返品の受付 |
| Webサービス | 契約手続きの案内、障害時の一次受付 |
※用件の例は当社による整理です。
4. AI電話のメリットと、導入前に押さえたい注意点
メリットは「取りこぼしが減る」「通話後の作業が減る」「応対の品質がそろう」の3つです。注意点は、電話が文字ではなく耳で聞く媒体であることから生まれます。
AI電話のメリット
- 時間外・混雑時の取りこぼしが減る:夜間や休日、回線が混み合う時間帯の電話もAIが受けられる
- 通話後の作業が減る:要約と記録をAIが残すため、入力と録音確認の時間が浮く
- 応対の品質がそろう:定型用件で担当者による差が出にくい。教育の時間を、判断が要る業務の育成に回せる
回答を「耳で聞いて分かる形」に作り直す
一般的に、チャットボット向けに用意した回答をそのまま読み上げても、電話ではうまく伝わりません。準備の段階で手を入れたいのは次の2点です。
- 回答の長さ:画面なら読み返せる説明も、電話では聞き流されます。耳で一度聞いて分かる長さに区切り、手順が多いものは1つずつ確認しながら進めます
- 固有名詞の読み方:製品名や専門用語、英字の略語は、読み方を決めておかないと不自然に聞こえることがあります。自社でよく使う言葉は、実際に読ませて確かめます
本人確認や契約内容にもとづく金額の案内は、AIに判断させない設計にします。誤ったときの影響が大きいためです。AIが用件を聞き取り、判断は人が行う形で分担します。
チャットボットと役割を分ける
すべての問い合わせを電話で受ける必要はありません。営業時間や料金表のような定型の質問、URLや手順を見ながら読んだほうが早い案内は、AIチャットボットのほうが向いています。音声での応対は1件ごとの通話時間もかかるため、テキストで済む用件まで電話で受けると負荷が増えます。
設計のしかたは2つあります。
- 入口を分ける:Webサイトや案内メールでチャットを先に案内し、電話は「話したほうが早い用件」に絞る
- チャットから電話へつなぐ:チャットボットで解決しなかった用件や、急ぎの用件だけを電話の窓口へ案内する
電話が月に数百件程度なら、電話のAI化より先に、チャットで問い合わせを受けて電話そのものを減らすほうが早いこともあります。
▶ 関連事例:電話対応を8割削減!スタートアップ支援の現場を支えるAIチャットボット|Fukuoka Growth Next
5. AI電話の導入の流れと期間
導入は「任せる用件を決める→会話を設計する→テストする→範囲を広げる」の順に進めます。最初からすべての電話をAIに任せず、小さく始めて広げるのが基本です。
- 任せる用件を決める:件数が多く、手順が決まっている用件から3つほど選ぶ
- 会話と転送条件を設計する:聞き取る項目、回答の文面、人へ渡す条件と渡し先を決める
- テストする:社内で実際に電話をかけ、聞き取り、読み上げ、転送の動きを確かめる
- 範囲を広げる:本番の通話を確認し、完了率や転送率を見ながら対象の用件を増やす

期間は規模で大きく変わります。代表電話の受付だけなら、設定を自社で済ませてすぐに使い始められる製品もあります。PBXやCRMとつなぐコールセンター規模の導入は、数ヶ月単位で見ます。当社のGMO即レスAI電話は、α版の構築に約3ヶ月、本番導入まで追加で2〜3ヶ月が目安です。
規模別のタイプと費用の考え方、各社サービスの比較はAI電話サービスはどう選ぶ?タイプ別の比較と規模別の選び方で整理しています。コールセンター全体でのAI活用はコールセンターはAI導入で何が変わる?種類・効果・始め方を解説をご覧ください。
6. AI電話に関するよくある質問(FAQ)
Q. AI電話とボイスボットは違うものですか?
A. ほぼ同じ領域を指します。業界で統一された定義はなく、ボイスボット、AI IVR、電話AIエージェントなど呼び名は製品ごとに違います。比べるときは名前ではなく、通話後の記録や外部システムへの書き込みまで受け持つかで見ます。
Q. 今使っている電話番号のままで導入できますか?
A. 既存のPBXやクラウドPBXと接続する形なら、番号を変えずに導入できる場合があります。接続の可否と工数は電話環境によって変わるため、PBXの種類を先に確認します。
Q. AIが電話に出ると、お客様は嫌がりませんか?
A. 気をつけたいのは、話が通じないまま同じやり取りが続く状態です。AIで解決できない用件は、会話の内容を添えて担当者へ転送する設計にします。お客様が同じ説明を繰り返さずに済みます。冒頭で「AIが応対する」と伝えるかどうかも、業務に合わせて決めます。
Q. 小規模でも導入できますか?
A. できます。代表電話の受付に絞った製品なら、少ない件数から始められます。ただし電話が月に数百件程度なら、チャットやFAQページで問い合わせ自体を減らすほうが早いこともあります。
7. 電話業務のAI化にお悩みではありませんか?
「時間外の電話を取りこぼしている」「電話を切ったあとの入力に追われている」。電話業務のご相談では、この2つがよく挙がります。
GMO即レスAI電話は、AIが自然な音声で一次対応し、通話後の要約・分類・記録までを受け持つサービスです。どの用件をAIに任せ、どこから人が引き取るかの線引きから、導入後の通話の確認と会話の改善まで、CS出身のメンバーが伴走します。
専任の電話チームがあり、月に数千件を超える電話を受けている業務で効果が出やすいサービスです。呼量が少ない業務や、毎回個別の判断が要る業務は無理にAI化せず、チャットボットやGMO即レスAI for CSをご案内します。
最後までお読みいただきありがとうございました。