【開催レポート】カスハラ対策義務化セミナー:発生してからでは遅い!AIを活用したCS体制変革ポイント
2026-10-29

2026年10月21日(水)、セミナー「◤2026年10月カスハラ対策義務化◢ 発生してからでは遅い!AIを活用したCS体制変革ポイント」を開催しました。
カスハラ対策が10月1日からすべての事業主の義務になっています。GMOペパボは2021年から、電話・メール・チャットの窓口でカスハラの判断と対応の仕組みを整えてきました。本セミナーでは、CS(カスタマーサービス)のマネージャーである大久保が「起きたカスハラを現場で抱え込ませない体制」を、GMO即レスAIの西が「カスハラの起きにくい窓口のつくり方」をお話ししました。本レポートでは、その内容をご紹介します。
開催概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| セミナー名 | ◤2026年10月カスハラ対策義務化◢ 発生してからでは遅い!AIを活用したCS体制変革ポイント |
| 日時 | 2026年10月21日(水)16:00〜17:00 |
| 開催形式 | オンライン(Zoom Webinar) |
| 参加費 | 無料 |
| 主催 | GMOペパボ株式会社 |
| 登壇者 | 大久保 愛(GMOペパボ株式会社 ロリポップ・ムームードメイン事業部 CSグループ マネージャー)、西 涼那(GMOペパボ株式会社 事業開発部 即レスAIチーム) |
| 進行 | 下之角 怜(GMOペパボ株式会社 事業開発部 即レスAIチーム) |
登壇者紹介
大久保 愛
GMOペパボ株式会社 ロリポップ・ムームードメイン事業部 CSグループ マネージャー
ドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)サービスのカスタマーサービス部門で責任者を務め、組織運営や品質管理を行う。電話・チャット・メールの窓口を委託先と運営し、カスハラ対応のルールづくりにも長く関わってきた。
西 涼那
GMOペパボ株式会社 事業開発部 即レスAIチーム
AIチャットボット/AIエージェント「GMO即レスAI」の営業・導入支援を担当。中小〜中堅企業のカスタマーサポート効率化に向けて、数多くの商談・デモ・運用フォローを手がける。
オープニング
冒頭では、進行の下之角が義務化の中身をおさらいしました。改正労働施策総合推進法により、2026年10月1日からカスハラ対策が事業主の義務になりました。求められているのは、相談に応じて適切に対応するための体制の整備と、カスハラを抑止するための措置の2つです。罰則はありませんが、勧告に従わない場合は企業名の公表の対象になります。
(出典:令和7年労働施策総合推進法等一部改正法 新旧対照条文|厚生労働省)
一方で、東京都の調査では、事業者としての責務を把握している企業は83.8%でしたが、実際に対策に取り組んでいる企業は38.5%にとどまっています(東京都 カスハラ実態調査、2026年3月)。方針をサイトや規約に載せるだけでは、窓口に立つ人を守れません。義務になったのは、体制を整えて実際に動かすことだと強調しました。
第1部:起きたカスハラを、現場・個人で抱え込ませない
大久保が最初に挙げたのは、判断を一人ひとりの感覚に任せたときの問題です。我慢する人と、すぐに対応を打ち切る人で、対応がばらばらになってしまいます。
5年前からカスハラ対策に着手

始まりは2021年です。ECサイト作成サービスのカラーミーショップの窓口で、現場の担当者を守るために、カスハラかどうかを判断する基準とスコアをつける仕組みをつくりました。その後他のサービスも含めたカスタマーサービス全体へ広げ、2024年には採点の根拠をAIでそろえる仕組みを社内で使い始めています。義務化されてから始めたのではなく、5年かけて少しずつ積み上げてきたものです。一度に全部を整える必要はありません。
苦情とカスハラの線引き

最初の分かれ道は、正当な苦情なのか、カスハラなのかです。見るのは「要求の内容」と「手段や態様」の2つで、両方が相当かどうかで判断します。提供範囲を大きく超えた要求や、攻撃的・威圧的・拘束的な言動があれば、カスハラの判定に進みます。
大事にしているのは、対応した人の「怖かった」という気持ちだけで決めないことです。気持ちだけで決めると、人によって判断が変わってしまいます。また、こちらの雑な対応が怒りを招いた場合は、カスハラではなく苦情として扱い、まず自分たちの対応や対応方針に問題がなかったかを見直します。
業務委託先とも同じ物差しを共有する
判断の物差しは、サポート業務を委託しているパートナーとも共有しています。カスハラは「暴力・暴言」「過剰または不合理な要求」「時間的・場所的な拘束」「その他のハラスメント」の4つに分け、見るポイントごとに「なし」「軽度」「明確」「深刻」の4段階の目安を置いています。具体的な点数や基準値は、悪用を避けるために公開していません。

物差しがあると、何となく嫌だったという感覚を、どの言動がどの類型に当たるかという言葉に置き換えられます。言葉になれば、管理者にも他のサービスの担当者にも同じ意味で伝わります。
採点は現場、止める判断は管理者
自社の担当者も委託先の担当者も、採点表をもとに採点し、記録を残すところまでを担当します。サポートやサービスを止めるかどうかは、リーダーやマネージャーなどの管理者が、スコアと対応内容を見て判断します。現場は採点に集中でき、止めるかどうかという重い判断を一人で背負わずに済みます。
第1部の最後に、大久保は次のようにまとめました。判断の物差しと役割分担を整えれば、起きたカスハラから現場を守れます。ただし、それだけではお客さまとぶつかる回数そのものは変わりません。
第2部:カスハラの起きにくい窓口をつくる
第2部は「起きる前」の話です。西はまず、お客さまが担当者につながるまでどれくらい待っているか、その間どんな気持ちでいるかを考えてほしいと参加者に問いかけました。
カスハラのきっかけは、窓口の仕組みにもある
カスハラというと、お客さまの側の問題に目が向きがちです。しかし、待たせる、たらい回しにする、同じ説明を何度もさせるといった窓口の仕組みが、カスハラを誘発していることもあります。こうしたカスハラは「誘発型カスハラ」と呼ばれます。

たとえば、設定方法を聞きたくて電話をかけたお客さまが、保留音のまま待たされ、担当部署に回されてまた待たされ、最初から同じ説明をさせられたとします。最後に電話に出た担当者は何も悪いことをしていませんが、お客さまの怒りはその担当者に向かいます。
AIの使いどころは事後対応と予防
カスハラ対策でのAIの使いどころは2つあります。1つは、怒鳴り声を穏やかな声色に変換するなど、受けたあとの負担を和らげるAIです。もう1つは、よくある質問にお客さま自身で解決してもらい、ぶつかる回数そのものを減らすAIです。どちらも必要ですが、誘発型カスハラの原因が待たせる仕組みにあるなら、入口でぶつかる回数を減らせると西は話しました。
AIを前に立てると、待ち時間を減らせる
すべてを人が受ける窓口では、簡単な質問でも電話の順番待ちが発生し、お客さまはいら立った状態でオペレーターにつながります。AIが前に立つ窓口なら、よくある質問に24時間すぐ答えられます。AIで解決しなかった相談はそれまでのやり取りごと人に届くので、対応する人は整理された状況から話を始められ、人にしかできない対応に集中できます。
ただし、AIを入れてもカスハラはゼロにはなりません。人につながる窓口がある限り、第1部の判断の仕組みとセットで考えることが大切です。
AIに任せる対応、人が引き取る対応

AIに任せやすいのは、手順や仕様の案内、よくある質問への回答など、答えが決まっているものです。人が引き取るのは、個別の事情がある相談や、障害・トラブルのおわび、感情が高ぶったお客さまへの対応、カスハラの疑いがある対応の判断です。
一番大事なのは、AIで解決しない相談を会話の内容ごと有人の窓口へつなぐことです。お客さまに同じ説明を2回させないだけでも、ぶつかる原因を1つ減らせます。
AIを前に置いた窓口で、出ている変化
スタートアップ支援施設のFukuoka Growth Next様では、導入から1か月で電話対応の時間が80%減りました。
GMOペパボでも、主要7サービスの窓口の前にAIを置いた結果、有人対応を50%以上削減できました(2024年1〜5月)。顧客満足度は導入前の86%から88%に上がっています。早く答えが得られること自体が、お客さまにとって価値のある対応になっていると西は話しました。

有人対応が減れば、担当者がお客さまとぶつかる回数も減ります。効果を見るときは、削減した件数や時間だけでなく、満足度もあわせて見ることを勧めました。
質疑応答
Q. 現場から「これはカスハラでは?」と相談が上がったとき、こちらの対応に原因があることもあると思います。どう見分けていますか?
大久保:管理者など、対応した担当者以外の人が、やり取りを客観的に確認して判断することが大事だと思っています。
Q. AIに任せる・人が引き取るという線引きの話がありましたが、ほかにAIが得意なことはありますか?
西:最近増えているのが、ECサイトなどで、お客さまの条件をAIが聞き取って、合う商品を提案する使い方です。お使いの端末や契約日によって案内が変わる場合も、その分岐をAIに組み込んでおけば、一人ひとりに合わせた対応ができます。
まとめ
- 義務になったのは方針を書くことではなく、体制を整えて実際に動かすこと
- 苦情とカスハラは共通の物差しで線引きし、採点は現場、止める判断は管理者と役割を分ける
- 待ち時間を生む窓口の仕組みを、AIを前に置いて変えれば、ぶつかる回数そのものを減らせる
今後のセミナーのご案内
GMO即レスAIでは、AI活用や問い合わせ対応をテーマにしたセミナーを開催しています。開催予定はセミナー一覧でご案内しています。
カスハラ対策については、コラム「カスハラ対策の義務化で何をすればいい?準備の順番と措置義務」でも詳しく解説しています。
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