GMO即レスAI

2026-04-27

【開催レポート】第2回 失敗しないAI活用 〜AI導入期のポイントと指標を解説〜

【開催レポート】第2回 失敗しないAI活用 〜AI導入期のポイントと指標を解説〜

アンドドット株式会社とGMO即レスAIの共催による全4回シリーズの第2回セミナーを開催しました。

「失敗しないAI活用」をテーマにした本シリーズの第1回では「導入前の課題整理」を取り上げ、AI活用の目的や方向性の明確化について議論しました。今回はその課題整理を踏まえ、具体的にどうツールを選び、どう導入を進めていくかを解説する回です。

前半はGMOペパボの下之角怜が自社のAI導入経験をもとに3つの壁とその乗り越え方を紹介。後半はアンドドットの小森一輝氏が、企業における生成AIツールの選び方と差別化戦略をGeminiのデモを交えて解説しました。

開催概要

項目詳細
セミナー名第2回 失敗しないAI活用 〜AI導入期のポイントと指標を解説〜
開催日時2026年4月23日(木)16:30〜17:30
形式オンライン(Zoom Webinar)
共催アンドドット株式会社、GMO即レスAI(GMOペパボ株式会社)

登壇者紹介

下之角 怜

下之角 怜
GMOペパボ株式会社 事業開発部 即レスAIチーム ディレクター

鹿児島県出身。東京での12年間の生活を経てUターン。カスタマーサービス業界でお客様対応に従事した後、現在はGMO即レスAIのディレクターとして、AIチャットボットの導入・運用を推進している。

小森 一輝 氏

小森 一輝 氏
アンドドット株式会社 AIスペシャリスト / まほろば創研株式会社 代表取締役

2023年に日本マイクロソフトに入社し、Azureや生成AIの導入支援に従事。2024年よりアンドドット株式会社でAI導入・普及支援を担当し、2025年2月には「まほろば創研株式会社」を設立して代表取締役に就任。企業向けのAI活用支援を幅広く手がけている。

前半:AI導入の3つの壁と乗り越え方(下之角)

AI導入前の状況

GMOペパボでは11サービスを運営しており、カスタマーサポートへの有人問い合わせが月25,000件、月間対応時間は3,857時間に達していました。CS業務の約90%が問い合わせ対応に費やされ、新しい価値を創造するリソースが慢性的に不足していた状況です。

GMOペパボのAI導入前の状況

「サイレントカスタマー」の存在も課題でした。問い合わせのハードルが高く、困っているのに離脱してしまうお客様がいたのです。ヘルプ記事は1サービスで700記事にのぼり、お客様が自力で答えを探すのは現実的ではありませんでした。

導入時に苦労した3つの壁

導入時に苦労したこと3点

壁1:会話設計の難しさ

AI導入で最初に取り組んだのは、CS担当者を集めた意見交換でした。AIの言葉遣いやサービスのブランドイメージの反映、回答精度とお客様への配慮のバランスなど、細かなルールを決めていきました。

  • ヘルプ記事をそのままインポートせず、AI用に整形してから取り込むことで精度を大幅に向上
  • 「ログインできない」といった曖昧な問い合わせに対して、AIがヒアリングを重ねて正確な意図を把握する設計
  • AIで解決できない場合は有人対応へスムーズにつなぐハイブリッド設計

壁2:KPI設計と効果測定

「AIを入れるのはいいけれど、どう測るか」。GMOペパボでも悩んだポイントです。同社は4つのステップでKPIを設計しました。

  1. ユーザー行動の洗い出し
  2. 取得可能な数値の特定(正答率・離脱率・ラリー数の3つをKPIに設定)
  3. AIの動線上にKPI取得の仕組みを組み込み
  4. 数値分析とチューニングのサイクルを実施

チャットボットの動線をすべて可視化し、起動から会話終了まで3つのフェーズ(直帰率・回答率/解決率・正答率)で追跡。このフローは社内全員が閲覧できる共有フォルダで管理され、チーム全員がKPIを意識できる仕組みになっています。

壁3:現場の不安解消

導入前、CS担当者からは「仕事がなくなるのでは」「AIの案内でお客様が怒るのでは」「満足度が下がるのでは」という声がありました。

蓋を開けてみると、AIとの会話でお客様の悩みが整理され、有人対応がむしろスムーズになったケースが多く見られました。満足度も心配とは逆に向上。AIに対して「ありがとう」と言葉をかけるお客様もいたそうです。

導入の成果

導入の成果

  • 顧客満足度:86%→88%(2ポイント向上)
  • AI完結率:最も良いサービスで80%の有人対応を削減
  • リスキリングによる配置転換:31名がCSからディレクター・人事等の新しいキャリアへ
  • 自治体導入実績:シナリオ型チャットボットをAI化し問い合わせが月60件→660件(11倍)
  • テクノロジー企業:有人問い合わせが9,000件→6,000件(30%削減)

数値で成果を示せたことが、次の全社展開につながる原動力になりました。お客様目線でも、即座に回答が返ってくる体験は求められているものだったと分かった形です。

全社展開のポイント

1. スモールスタートで実績づくり: まず1サービスで導入・検証し、成功パターンを確立。いきなり全社展開するのではなく、小さく始めて成功事例を作ることが功を奏しました。

2. 成功事例の社内共有: 数値成果だけでなく、現場の声をセットで共有。「お客様にありがとうと言われた」といったエピソードが他部署の導入意欲を高めました。

3. 継続的な改善サイクル: 定期的なKPIレビューとチューニングを実施し、現場からのフィードバックを反映し続ける体制を構築しました。

AI推進リーダーには「現場を知っている人」「巻き込み力がある人」「変化を楽しめる人」が適任。AIに詳しい必要はなく、業務知識とワークフローの理解度のほうが重要だと下之角は語りました。

AI導入を成功させる3つのポイント

後半:企業での生成AIツールの選び方(小森氏)

小森氏のパートは、スライドでの説明よりも実際のツールを使った実践形式のデモが多めの構成でした。

AI時代の差別化は「ツール」ではなく「データ」

小森氏からは、企業でのAIツール選定について実践的な解説がありました。ChatGPT、Gemini、Copilotなどのツール導入だけでは差別化にならず、社内データ・業務のドメイン知識をAIに教えられるかどうかが競争力のカギになるという指摘です。

「スライドを作って」と指示しても、社内フォーマットに合わないものが生成されたり、議事録のテンプレートが合わなかったりする。これを解決するには、社内の蓄積データをAIに連携させる環境が必要です。

AIツール選定の6つの観点

多様化するAIツールとその選定

  • データの所在 — 社内データがどこに集約されているか(Google Drive / OneDrive等)
  • セキュリティ — AI入力の安全性、RAGファイルへのアクセス制御(部門別の閲覧権限が守られるか)
  • 機能性 — LLMのバージョン、マルチモーダル対応、最新機能の搭載状況
  • コスト — 月額ユーザー単位か利用量課金か
  • 使いやすさ — UIの操作性、学習コストの低さ
  • 外部との連携・拡張性 — 社内システムとの連携、MCPなどの外部ツール呼び出し

「機能で選びがち」ですが、企業においては使いやすさやデータの所在のほうが重要な場面が多いと強調されました。

Geminiデモ:データ連携の実力

小森氏はGeminiのキャンバス機能を使い、PDFを元に製造業のAI活用事例スライドを自動生成するデモを実施しました。作成したスライドはGoogleドライブに直接保存され、さらにGoogleスプレッドシート上でそのスライドを参照させてトークスクリプトを自動生成するという横連携も披露。

Googleスプレッドシートの =AI("プロンプト", [範囲]) 関数や、Googleカレンダーとの連携でスケジュール管理をAIに任せるといった活用例も紹介されました。

「データの所在が一元管理されているからこそ、ツール間を行き来せずにAIの価値を最大化できる」というのが小森氏のメッセージでした。

質疑応答

Q. 業務での生成AI活用はChatGPT中心ではダメなのか?

小森氏:ChatGPTでもGoogleワークスペースとの接続は可能で(コネクタ機能)、データ連携自体はできます。ただし、Geminiのようにアプリケーション内でAIを呼び出してその場で操作するという使い方はやりづらい部分があります。データ連携だけに限ればChatGPTでも十分対応可能です。

Q. 「学習コストが低い」とは具体的にどういう意味か?

小森氏:ここで言う「学習コスト」は、RAGやAPIのチューニングの話ではなく、もっと手前の部分。「どこにチャット入力欄があるか」「どこに新規作成ボタンがあるか」といった操作のわかりやすさのことです。賢いツールと使いやすいツールは別の軸で、導入時の教育コストを下げるには使いやすさが重要になります。

登壇者同士の対話から

下之角は個人としてClaude Codeを活用しており、セミナーの企画業務などに使っていることを紹介。「最初は抵抗があったが、使い始めたら手放せなくなった」とのこと。小森氏からは「個人ではいろんなAIツールを試しつつ、社内展開では長期目線でツールを選定するのがよい」というアドバイスがありました。

次回セミナーのご案内

本シリーズはあと2回を予定しています。次回は2026年6月2日(火)16:30〜17:30に開催予定です。AI導入後の運用や組織への定着がテーマとなる見込みです。

詳細は追ってメールにてご案内予定ですので、ご興味のある方はぜひご参加ください。

お問い合わせ

本セミナーの内容について詳しく知りたい方は、各社までお気軽にお問い合わせください。

アンドドット株式会社(AI導入支援・研修)
コーポレートサイト:https://and-dot.co.jp/
お問い合わせ:https://and-dot.co.jp/contact

GMO即レスAI(AIチャットボット導入・運用)
サービスサイト:https://sokuresu.ai/
お問い合わせ:https://sokuresu.ai/contact
資料ダウンロード:https://sokuresu.ai/document/service

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