2026-03-30
【開催レポート】第1回 失敗しないAI活用 〜AI活用の前のよくある課題を整理〜

アンドドット株式会社とGMO即レスAIの共催による全4回シリーズの初回セミナーを開催しました。
「AIを導入したけど現場で使われない」「ツールが多すぎて選べない」——こうした声は、AI活用を進める企業で頻繁に耳にする悩みです。今回のセミナーでは、AI活用が失敗する背景にある共通の課題を整理し、成果を出すために欠かせない基本の考え方を2名の登壇者からお話ししました。
開催概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| セミナー名 | 第1回 失敗しないAI活用 〜AI活用の前のよくある課題を整理〜 |
| 開催日時 | 2026年3月26日(木)16:30〜17:30 |
| 形式 | オンライン(Zoom Webinar) |
| 共催 | アンドドット株式会社 × GMO即レスAI(GMOペパボ株式会社) |
登壇者紹介

小森 一輝 氏
アンドドット株式会社 AIスペシャリスト / Bit Blend代表
2023年に日本マイクロソフトに入社し、Azureや生成AIの導入支援に従事。2024年よりアンドドット株式会社でAI導入・普及支援を担当し、2025年2月には「Bit Blend」を設立して代表に就任。企業向けのAI活用支援を幅広く手がけている。

下之角 怜
GMOペパボ株式会社 事業開発部 即レスAIチーム ディレクター
鹿児島県出身。東京での12年間の生活を経てUターン。カスタマーサービス業界でお客様対応に従事した後、現在はGMO即レスAIのディレクターとして、AIチャットボットの導入・運用を推進している。
前半:企業でのAI活用によくある4つの課題(小森氏)
小森氏からは、企業がAIを導入・活用する中でぶつかりがちな課題を4つに整理し、それぞれの解決策が語られました。
課題1:そもそも何ができるのか分からない
AIで画像を生成したり、メールの下書きを作ったり。個人レベルでは使えても、「業務のどこにはめればいいのか」が見えないという声は多いです。
小森氏はこの課題に対し、アンドドット社で体系化した「AIスキルピラミッド」を紹介。企業でAIが進まない原因は、大体この3つに集約されるといいます。

- AIリテラシー — AIの得意・不得意やリスクの理解。ハルシネーションのようにAIが苦手な領域を知っておくこと
- AIクリエイティビティ — 自分の業務のどこでAIを使えるかを発想する力
- プロンプトデザイン — AIへの適切な指示の出し方
この3つが揃って初めて、業務と掛け合わせた効率化ができる。逆に言えば、どれか1つでも欠けていると「AIを入れたのに使われない」という状態に陥りやすいとのことでした。
課題2:どのAIツールを選べばいいか分からない
ChatGPT、Gemini、Copilot——ツールが多すぎて選べない、という質問は小森氏にも数多く寄せられるそうです。
ここで強調されたのは、「機能で選ぶのはそこまで重要じゃない」という点。企業がAIで差別化できるポイントは、どのツールを使うかではなく、社内に蓄積されたデータやドメイン知識をどう活かすかにあるといいます。

- データの所在 — 普段Google Driveを使っているならGemini、Microsoft系ならCopilotなど
- セキュリティ — 入力データがAIに学習されないか、アクセス権限の制御ができるか
- 機能性 — AIの賢さやバージョン
- コスト — 月額固定か従量課金か
- 使いやすさ — 研修なしでも使えるか
- 拡張性 — 将来的にAIアプリと連携できるか
課題3:AI人材の育成方法が分からない
「チャット型AIは使えるようになった。次は何をすればいいのか」——この声に対して、小森氏は段階的なロードマップを提示しました。
- ステップ1 — AIリテラシーの基礎教育(仕組みの理解、得意・不得意の把握)
- ステップ2 — 業務特化型のAIツール活用、シーンごとの使い分け
- ステップ3 — ローコード・ノーコードでのAIアプリ内製化
また、DX推進部が一括で旗を振るのではなく、各チームに「もともとAIが好きで触っていた人」を推進役として立てる方法が効果的だという事例も共有されました。
課題4:導入したのに活用率が上がらない
「全社で進めたいのに使ってくれない」——この課題に対する解決策として、小森氏が挙げたのは評価制度とのリンクでした。

AI推進に取り組む人にインセンティブがなく、ボランティア頼みになっているケースが多い。社内イベントの開催数やAI活用事例の共有などを定量的に評価に組み込むことで、推進が進みやすくなるといいます。
もう一つの注意点として、「ROIを早く求めすぎない」こと。AIツールを導入した翌月から生産性が上がるわけではなく、業務に浸透して使いこなすまでにはタイムラグがあると語られました。
後半:業務整理から始めるAI導入の現場(下之角)
後半は、GMOペパボでの実体験をベースに、「AIを導入する前にやるべきこと」をテーマにお話ししました。
「AI入れたけど使われない」は、なぜ起こるか
AIを入れたのに現場で使われない。とりあえずやってみたけど成果が出ない。よく分からないまま社内のツールだけが増えていく——これはGMOペパボでも起きていたことです。
原因を突き詰めると、そもそも業務全体の把握や整理が適切に行われていなかったことに行き着きました。
業務整理の3ステップ
- 業務の棚卸し — 地道な作業だが、ここで「どこに時間がかかっているか」が分かればAI導入の費用対効果の目算が立つ
- ワークフローの可視化 — 業務全体の流れを図に起こし、ボトルネックを見極める
- AIに任せる/任せないの切り分け — 整理した結果から、AIが一番力を発揮できる業務を見極める
ボトルネックの3分類
GMOペパボでAI導入前に業務を整理した結果、ボトルネックは大きく3つに分類できました。

- 入り口の問題 — AIがあるのに存在が認知されていない、そもそもたどり着けない
- 中身の問題 — ナレッジが点在して最新化されていない。AIに正確な情報を渡せない状態
- 運用の問題 — 誰もメンテナンスしない、KPIを見ない、担当者が1人に偏って止まる
GMOペパボの実例:カラーミーショップでの導入
GMOペパボが提供するネットショップ作成サービス「カラーミーショップ」のカスタマーサポートに導入したケースを紹介しました。
まず業務の棚卸しを行い、お客様から寄せられる問い合わせを全件カテゴリ分類。その結果、マニュアルで回答できるものが全体の62%を占めていることが分かりました。この数字が「6割はAIに任せられる」という判断材料になり、導入に踏み切る大きな後押しとなりました。
【実績公開】カスタマーサポート業務を劇的に変えたAI導入の成果

| 指標 | 成果 |
|---|---|
| カスタマーサービス業務時間 | 年間8,488時間削減(約50%削減) |
| 人員の再配置 | 31名が事業部門・バックオフィスへ異動 |
| 営業利益改善 | 年間8,200万円 |
| 有人対応比率 | 80%削減(段階的に改善) |
ただし、これは2年間かけて積み上げてきた実績です。小森氏もおっしゃっていた通り、すぐに効果を求めすぎないことが大事で、段階を踏んで改善サイクルを回し続けた結果が数字に表れています。
明日からやってほしい5つのこと

- AIと協業する業務を1つに絞る — 全部を一気にやるのではなく、まず1つから
- 成功の定義を1つ決める — 解決率、対応時間など、数字で測れるものを1つ
- AI活用のオーナーを1人決める — 「みんなで見る」は「誰も見ない」のと同じ
- 定期的な改善枠をカレンダーに入れる — 「やろうと思っている」ではなく「やる状態」を作る
- KPIの進捗を既存会議で共有する — 新しい会議を増やすのではなく、今ある定例に組み込む
質疑応答
参加者からは「Gemini×Google Workspaceの研修費用」についての質問が寄せられ、小森氏から企業規模やカリキュラムによって幅があること、助成金・補助金の活用も可能であることが回答されました。
また登壇者同士のクロストークでは、GMOペパボ社内でのAIツール運用について話題に。社外向け・社内向けでチャットボットを使い分けていること、セキュリティ要件が厳しい場合は内製で対応していることなどが共有され、「何でもかんでも禁止ではなく、できる方法を模索することが大事」という意見で一致しました。
次回セミナーのご案内
全4回シリーズの第2回は、2026年4月23日(木)16:30〜 に開催予定です。今回の内容を踏まえた上で、より深い事例や実践テクニックを扱う予定ですので、ぜひご参加ください。詳細は後日ご案内いたします。
お問い合わせ
本セミナーの内容について詳しく知りたい方は、各社までお気軽にお問い合わせください。
アンドドット株式会社(AI導入支援・研修)
コーポレートサイト:https://and-dot.co.jp/
お問い合わせ:https://and-dot.co.jp/contact
GMO即レスAI(AIチャットボット導入・運用)
サービスサイト:https://sokuresu.ai/
お問い合わせ:https://sokuresu.ai/contact
資料ダウンロード:https://sokuresu.ai/document/service