GMO即レスAI

生成AIによる問い合わせ対応で何が変わるのか — カスタマーサポートの典型課題と解決アプローチを実例で解説

2025-01-29

生成AIによる問い合わせ対応で何が変わるのか — カスタマーサポートの典型課題と解決アプローチを実例で解説

カスタマーサポート(CS)の現場では、人手不足、夜間休日対応、対応品質のばらつき、属人化といった課題が複合的に重なっています。「生成AIで解決できる」と耳にする一方で、本当に現場が回るのか、運用は誰が見るのか、導入したものの使われなくなるのではないか — そういった不安をお持ちのCS担当者・マネージャーは少なくないはずです。

この記事では、メリットの一般論ではなく、CS現場が抱える典型課題から逆算して生成AIをどう活用するかを、GMO即レスAIの導入事例7社を交えて解説します。

▶ AIエージェント導入事例集を無料でダウンロード

カスタマーサポート現場が抱える典型課題

生成AIの話に入る前に、まずCS現場でよく耳にする課題を整理します。みなさんの組織でも、いくつかは思い当たるのではないでしょうか。

人手不足と採用難

問い合わせ件数の増加に対し、オペレーターの採用・育成が追いつきません。即戦力人材は採用市場でも希少で、育成にも時間がかかります。

夜間・休日・繁忙期の対応負荷

24時間365日の対応を求められる一方、人員配置には限界があります。長期休暇明けや繁忙期には問い合わせが集中し、対応の積み残しが発生します。

属人化とナレッジの偏在

ベテランオペレーターしか答えられない案件や、特定の担当者の頭の中にしかないナレッジが、対応スピードと品質のボトルネックになっています。

対応品質のばらつきとCSAT低下

オペレーターごとの回答品質に差があり、顧客満足度(CSAT)に影響します。同じ質問への回答が担当者によって異なる、という事象は珍しくありません。

教育・オンボーディングコスト

新人オペレーターを独り立ちさせるまでには数ヶ月単位の研修が必要です。離職が出るたびに、この投資をやり直すことになります。

離職リスクと現場疲弊

対応負荷の高さは現場の疲弊につながり、結果として離職率の上昇を招きます。離職するとさらにナレッジが失われ、残ったメンバーの負荷が上がる、という悪循環が起きやすい領域です。

ここに挙げた6つの課題は、相互に関連しています。生成AIの活用を検討するときは、「どのメリットがあるか」ではなく「自社のどの課題から解くか」という視点で見ていくと、導入後の運用設計がブレません。

生成AIがカスタマーサポート業務にもたらす変化

ここからは、上記の課題に対して生成AIがどう作用するかを整理します。

業務効率化の側面

最も分かりやすい効果は、問い合わせ対応の自動化による工数削減です。FAQで解決できる質問や、過去の対応履歴から類推できる質問を生成AIが一次受けすることで、オペレーターは複雑な案件に集中できるようになります。

GMO即レスAIを導入したGMOペパボの「カラーミーショップ」では、AIチャットボット導入により月あたり803時間の問い合わせ対応時間を削減しました。AIチャットボットのみで月の問い合わせの半分を解決できる状態を実現しています。

Fukuoka Growth Next様の事例では、AIチャットボット導入から1ヶ月で電話対応にかかる時間が80%減少しました。問い合わせ傾向の分析が可能になり、先回りの顧客対応にもつながっています。

顧客体験(CSAT)の側面

生成AIによる効果は工数削減だけではありません。即時応答による待ち時間短縮、一次解決率の向上、24時間365日対応の実現は、CSATや一次解決率といったKPIに直接寄与します。

ココナラ様の事例では、月9,000件あった問い合わせを6,000件まで約30%削減しつつ、顧客満足度は維持〜向上しています。「AIによる一次整理で要点がまとまった状態で問い合わせが来るため、有人対応もしやすくなった」という変化も生まれました。

組織・人材面の波及

スパムや関係のない問い合わせをAIで弾けるようになると、チケット管理の負荷が下がります。さらに、難易度の高い問い合わせにオペレーターのリソースを集中できるようになるため、現場のスキル形成にもプラスに働きます。

「AIが仕事を奪う」のではなく、「AIが空けた時間で、より人にしかできない応対を磨く」という方針転換ができると、現場の納得感も得られやすくなります。

導入事例 — CS課題タイプ別に読み解く

ここからは、生成AIによる問い合わせ対応の事例を、CS課題のタイプ別に整理して紹介します。

大量問い合わせ・効率化型(人手不足/工数削減)

カラーミーショップ:全問い合わせをAIで一次受け

HTML/CSSや決済、返品対応など専門性の高い問い合わせが多く、AI導入前は月間4,000時間規模の問い合わせ対応時間が発生していました。シナリオ型のチャットボットを使っていた時期もあったものの、解決率は2〜3%程度にとどまり、業務効率化には至っていない状態でした。

意思決定としては、全問い合わせをAIで一次受けする思い切った設計を採用。結果として、AIが回答できない難易度の高い質問にオペレーターを配置できるようになり、月803時間の削減と、AIチャットボット単独で月の問い合わせの半分を解決する状態を実現しました。

AIチャットボット導入前後比較

シェアフル様:問い合わせ33%増を人員増なしで対応

短期単発の求人プラットフォームを展開するシェアフル様では、顧客の自己解決手段がメール・電話に限定されており、事業成長に伴う問い合わせ急増を少人数で受け止められない状況でした。

導入後の運用では、チャットボットで対応が難しい案件に有人対応へ誘導するタグを付与し、有人対応の割合を全体の約15%に抑制しています。ログ確認用のダッシュボードも内製し、日々の数値を管理しながらプロンプトを継続的に調整する運用体制を構築しました。

効果として、問い合わせ33%増(1.3倍)を人員増なしで対応、月平均80時間の削減を実現しています。利用停止中のユーザーからの問い合わせは60%減、簡単な質問は20%減と、自己解決の促進にもつながりました。

ココナラ様:月9,000件を6,000件まで削減、満足度は維持〜向上

スキルマーケットプレイスを運営するココナラ様では、シナリオ型ボットの保守工数の肥大化と、ヘルプ記事だけでは自己解決しきれない問い合わせが課題でした。

自然言語処理型のGMO即レスAIへ切り替えた後は、AIチャットのログからユーザーの課題を把握しやすくなり、サービス改善のインプットとして活用できるようになりました。問い合わせ件数は約9,000件から6,000件へと月3,000件分(約30%)の工数削減を達成。顧客満足度は維持〜向上しており、「AIの回答が便利だった」という声も寄せられています。

大量問い合わせ・効率化型の導入事例

▶ お問い合わせはこちら(カスタマーサポート領域での導入相談)

時間外・繁忙期対応型(24/365・連休スパイク)

KDDIウェブコミュニケーションズ様:シナリオ型と生成AIのハイブリッド運用

ホームページ作成サービス「ジンドゥー」では、土日祝・大型連休・年末年始の対応不可と、簡潔な案内でも有人対応に時間がかかるという課題がありました。

採用した運用方式は、シナリオ型と生成AIのハイブリッドです。プロダクトごとにシナリオを構築することで誤答リスクを抑え、生成AIの自然言語対応能力で柔軟性を確保しています。

結果として、24時間365日のサポートが実現し、解決スピードの向上、連休明けの返信負荷の軽減につながりました。「待たせる事案がぐんと減った」「顧客が躊躇していた質問も解決可能になった」という変化が、サービス継続利用の向上にも寄与しています。

Fukuoka Growth Next様:電話対応時間80%減

スタートアップ支援施設のFukuoka Growth Next様では、施設利用に関する電話問い合わせが他業務を圧迫していました。問い合わせの傾向分析もできておらず、先回り対応も困難な状態でした。

AIチャットボット導入後1ヶ月で電話対応時間80%減を達成。同時に、寄せられる問い合わせの傾向を分析できるようになり、先回りの顧客対応に転じることができました。

時間外・繁忙期対応型の導入事例

属人化・運用負荷軽減型(保守工数・教育コスト)

アスカネット様:MacOS関連問い合わせの約40%を解決

写真関連サービスを提供するアスカネット様では、シナリオ型ボットの運用が属人化し、FAQに検索機能がなく顧客が回答に到達できない、という二重の課題を抱えていました。

GMO即レスAIへの切り替え後は、マニュアルを入力するだけで回答生成できる運用となり、管理画面の分かりやすさから属人化が解消。MacOS利用方法に関する問い合わせで約40%の解決率を達成し、サポート時間外のAIチャット利用率も向上しました。

導入時には「AIが正しい回答をするのか」という不安が現場にあったものの、デモ体験でその不安を払拭。スタッフからは「AIは賢い」「AIをどう育てていこう」というポジティブなマインドシフトが生まれています。

minne:運用ループで正答率99%の月を実現

ハンドメイドマーケット「minne」では、正答率を改善指標として明確に設定し、運用ループを回しています。担当者の発話確認・データ修正は手間のかかる作業ですが、人的対応と比べて複利で改善されていく点が生成AI運用の強みです。正答率99%を記録する月もある状態を、運用設計によって実現しています。

属人化・運用負荷軽減型の導入事例

導入の意思決定フレーム

「AIで問い合わせ対応をする」は企業にとって大きな決断です。やみくもにツール選定に入る前に、判断軸を整理しておくと意思決定のブレを減らせます。

社内向け/社外向けのどちらから始めるか

事業への影響が限定的な社内向けから始めると、試金石として運用ノウハウを蓄積できます。GMOペパボでは、経理や総務に寄せられる質問への一次対応を社内向けAIが担う体制を採用しています。

一方、社外向けはCV/CSATへの直接的な寄与が期待できるものの、要件設計の難度が上がります。すでに社内導入の経験がある企業や、CSの工数削減が経営課題として急務な企業に向いています。

一次受け/補助のどちらの使い方をするか

一次受け型は、FAQで解決できる質問の比率が高い場合や、問い合わせ件数が多い場合に有効です。カラーミーショップやFukuoka Growth Next様はこのパターンに該当します。

補助型は、オペレーターの応対画面に回答ドラフトを生成する使い方で、専門性の高い問い合わせの多い業務に向いています。ベテランの暗黙知をAIに反映させていくアプローチです。

適用範囲の段階的拡大

最初から全方位に展開するのではなく、フェーズを区切るのが現実的です。Phase 1でFAQ対応、Phase 2で受発注情報の参照、Phase 3で手続きの自動完了、というように段階的に広げていきます。

利用導線・チャネル選定

自社のサイト内チャットだけでなく、InstagramDM、LINE、メールなど、顧客との接点がどこにあるかを棚卸ししてから導線を設計します。カラーミーショップでは、サポートページからチャットボットへ自然に流れる導線を設計したことが効果につながりました。

改善したい業務と指標を決める

工数削減だけでなく、CSAT・一次解決率・対応時間・離職率まで指標の射程を広げて設計します。ECサイトであれば「サイズ質問への即時回答」「ギフトレコメンド」、BtoBサイトであれば「仕様・マニュアル回答」「概算料金回答」など、業務ごとに具体化していきます。

運用設計 — 導入後の成果を決める要素

生成AIによる問い合わせ対応は、導入そのものより導入後の運用で成果が決まります。ここでは押さえておきたい設計要素を5つ紹介します。

正答率の改善を運用化する

正答率は、設定するだけでは改善しません。正答率責任者を明確にし、月次の改善ループ(指標確認→ログ分析→ナレッジ更新→検証)を回す体制が必要です。

ココナラ様のようにAIチャットのログからユーザー課題を把握し、サービス改善に活かす運用ができると、改善は加速します。アスカネット様のように、チャット履歴を起点にFAQを改善していく形も有効です。

データの型をテキストにする

2026年5月時点でも、テキスト形式のデータと比べて、PDFや画像から読み込んだ場合の回答精度には差が出ます。仕様書・マニュアルにある図や写真の情報は、PoCで読み取り→人手で整形、というフローを通してテキスト化しておくと、運用が安定します。

エスカレーションSLAと有人対応の設計

AIが回答できないケースを、誰に・どのSLAでバトンタッチするかをあらかじめ設計します。シェアフル様では、複雑案件に有人対応誘導タグを付与し、有人対応を全体の約15%に制限しました。オペレーターは高度な案件に集中できるようになり、対応品質と効率を両立しています。

シナリオ型と生成AIのハイブリッド設計

すべてを生成AIに任せるのではなく、プロダクトごとにシナリオを構築して誤答リスクを抑える設計が、業務によっては有効です。KDDIウェブコミュニケーションズ様の「ジンドゥー AIチャット」は、シナリオ型と生成AIのハイブリッドで24/365対応を実現しています。

現場の納得感を取る

導入プロジェクトを成功させるうえで見落とされがちなのが、現場の納得感です。トップダウンで導入を決めても、現場が「自分たちの仕事を奪う」と受け止めると活用は進みません。

ココナラ様のように「AIで効率化できる部分はAIに任せ、人にしか提供できないサポートを磨く」という方針転換を、現場と共有しながら進めることが重要です。アスカネット様でも、デモ体験を通じて現場の不安を払拭したことが、その後の「AIをどう育てていこう」というマインドシフトにつながりました。

失敗パターンと回避策

最後に、生成AIによる問い合わせ対応の導入でよく見られる失敗パターンと、その回避策を3つ整理します。注意点として知っておくだけで、防げる失敗は少なくありません。

「導入したが使われない」

導入したものの、顧客がチャットボットに気づかない・使わないというパターンです。原因は、既存FAQや問い合わせフォームと一体化されておらず、チャネル設計が不足していること、また社内告知が行き渡らず初期接触が伸びないことに集約されます。

回避策は、既存FAQ・問い合わせフォーム・サポートページとの一体化された導線設計と、現場・関係部署への計画的な告知です。カラーミーショップが導線設計を丁寧に行ったことは、成功の要因でした。

「正答率が伸びない」

導入直後の正答率が頭打ちになり、運用負荷に見合う効果が出ないパターンです。原因は、データのテキスト化が不十分であること、そしてナレッジ更新の責任者が不在であることが多いです。

回避策は、正答率責任者の設置と月次改善ループの初期設計です。ココナラ様のログ分析駆動改善や、アスカネット様のチャット履歴→FAQ改善ループは、運用ループが機能している好例です。

「現場の納得感が取れない」

経営層や情シスが主導で導入を決めても、現場が運用に納得していないと活用は進まず、形骸化します。原因は、トップダウンの導入と運用ルールの不明確さです。

回避策は、現場担当者をPoC段階から巻き込み、運用ガイドを策定したうえでロールアウトすることです。アスカネット様では「AIが正しい回答をするのか」という現場の不安を、導入前のデモ体験で払拭しました。結果として、スタッフが「AIをどう育てていこう」というマインドに変化し、運用が前進しました。

ベンダー選定で確認すべきこと

ここまでの設計が固まると、AI関連サービスのベンダー選定に入ります。打ち合わせ時には、以下の観点を確認することをおすすめします。

  • データ整備・継続運用サポートの有無:AIソリューションの導入後の運用で最も比重が高いのがデータ整備です。製品スペック変更や新商品追加のたびにデータ更新が必要になるため、運用に不慣れな場合はサポート体制を確認しましょう
  • 自社業界・規模での導入実績:CS文脈で具体的にどのような成果が出たかの実例があるベンダーを選ぶと、運用設計のヒントも得られます
  • セキュリティ要件:個人情報や社内機密情報の取扱について、暗号化・アクセス制限・関連法令への準拠状況を確認します
  • ハルシネーション対策:生成AIには誤った情報を返すリスクがあるため、回答の検証フローや人手レビューの仕組みを確認しましょう

まとめ

「生成AIで問い合わせ対応がどう変わるのか」は、メリットの一覧ではなく、自社のどの課題から解くかで答えが変わります。

カラーミーショップやFukuoka Growth Next様のような工数削減はもちろん、シェアフル様の問い合わせ33%増対応、ココナラ様の満足度を維持しつつ30%削減、KDDIウェブコミュニケーションズ様の24/365対応など、CS現場の課題タイプによって設計の正解は異なります。

そして、導入後の成果を決めるのは運用設計です。正答率責任者の設置、改善ループ、エスカレーションSLA、ハイブリッド設計、現場の納得感 — この5要素を初期から組み込めると、「導入したが使われない」「正答率が伸びない」といった失敗パターンを避けられます。

GMO即レスAIでは、CS文脈での導入実績をもとに、課題整理から運用設計までを含めたご相談を受け付けています。無料説明会のご予約はお問い合わせフォームから承っております。

最後までお読みいただきありがとうございました。

AIと共に生産性の高い社会を創る

GMO即レスAI