Difyで実現するLLMコスト最適化:業務別おすすめ言語モデル
2025-12-21

DifyをはじめとするLLMオーケストレーションツールの導入が進み、多くの企業でAIツールがPoCから本番環境への実装へ移行しつつあります。
全社的なワークフロー運用においてよく課題に上がるのが生成AIのモデル選定についてです。
多数の言語モデルの中から、企業・組織のガバナンス、ランニングコスト、そして応答速度の要件を満たす組み合わせをどう設計するかが、様々なバランスを求められる意思決定ではないでしょうか?
本記事では、2025年現在の環境において、Difyで採用すべきLLMとその選定ロジックを解説します。
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最新モデルがいつも最適解とは限らない理由
現在、高度な推論特化型モデルがLLMモデルを提供する各社から登場していますが、スピードを求められる現場でAIを活用する場面においては、あえてGPT-4oやClaude 3.5 Sonnetといった「旧モデル」を採用するケースが多いです。
なぜなら最新の推論モデルは複雑な思考プロセスを経るため、返答までに数十秒を要するケースがあり、下記のような理由で業務によってはそぐわないことがあるからです。
1. SLAを維持する応答速度
社内業務やカスタマーサポートなどの顧客向けチャットボットにおいて、待ち時間は顧客体験を損ないます。
なるべく速く、安定した回答を返すことを優先するには、推論速度に最適化されたモデルが最も合理的です。
2. トークンコストの最適化と予算管理
企業規模で多くの人員がLLMを利用する場合、月間のトークン消費量は膨大になります。
旧言語モデルはAPI利用料が最新のモデルよりも安くなっており、コスパよく運用することが可能です。ある程度コスト予測が容易なモデルを選定することで、予算管理の簡易なものをうまく制御しましょう。
3. APIの接続安定性と後方互換性
業務フローに組み込む以上、突発的な仕様変更や挙動の変化はあまり好ましくないでしょう。運用実績が長い旧言語モデルは、エラー率が低いのが特徴と言えるのではないでしょうか。
主要モデルの得意領域とポジション
組織導入においてコスパと精度をうまく両立できる言語モデルは、以下3つのAIブランドと言語モデルです。
1. Google (Gemini 1.5 Pro)
役割:大量ドキュメント解析・ナレッジマイニング
- Gemini 1.5 Pro: 文脈を記録できる最大値がそれなりにあり、数百ページの社内規定やマニュアル、あるいは動画データを一度に読み込ませる業務において、評価されています。Google WorkSpace環境下での活用ならGoogleアプリとのシナジーが大きく、他社との比較検討時には優位となりうるでしょう。
2. OpenAI (GPT-4o / GPT-4o mini)
役割:基幹処理・構造化データ変換
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GPT-4o: マルチモーダル処理(画像・テキスト)を標準的に行えます。
特にJSON形式への出力など、システム連携に必要な構造化データの生成において高い安定性を誇ります。 -
GPT-4o mini: コストと速度に特化したモデルです。一次対応や単純な分類タスクにおいては、高い対応力を発揮します。
3. Anthropic (Claude 3.5 Sonnet)
役割:対外コミュニケーション・高度な文脈理解
- Claude 3.5 Sonnet: 日本語の自然さや、文脈を読み取る能力に長けています。
特にRAG(検索拡張生成)において、参照するドキュメントに忠実な回答を生成するため、コンプライアンス遵守が求められる領域で一定の能力を発揮します。
ワークフローの構成と組み込むモデル
多くの企業・組織においてよくある業務ごとに、推奨されるモデル構成とその理由を解説します。
① バックオフィス・管理部門
定型業務の自動化
要件: 正確なデータ処理、大量データの高速処理、紙情報のデジタル化
経費精算・帳票入力・顧客リスト生成
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推奨モデル: GPT-4o
理由: 請求書や名刺などの画像データから、会計システムやCRMにインポート可能な形式(JSON/CSV)へ変換する精度が高いため。
Vision機能とFunction Callingの安定性が鍵となります。
採用スクリーニング・議事録生成
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推奨モデル: Gemini 1.5 Pro または Claude 3.5 Sonnet
理由:Gemini 1.5 Pro: 長時間の会議音声ログや、数十人分の職務経歴書を一括でコンテキストに含め、分析を行う場合に最適です。
補助金調査・不動産マッチング・物流ルート最適化
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推奨モデル: Claude 3.5 Sonnet (RAG活用)
理由: データベースやWeb検索結果に基づき回答する際、参照元にない情報を捏造するハルシネーションリスクが比較的低いためです。
誤った情報が経営リスクに直結する業務においては、信頼性の高いClaudeが推奨されます。もちろん人によるファクトチェックを適宜行うフローを組むなどの運用管理を挟むことを前提としています。
② マーケティング・広報
クリエイティブ・品質管理
要件: ブランドトーンの統一、ハルシネーションの抑止、自然な日本語
オウンドメディア記事作成・プレスリリース・SNS運用
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推奨モデル: Claude 3.5 Sonnet
理由: 生成AI特有の機械的な表現を避け、企業のブランドイメージに即した自然な日本語を出力できます。
編集者のリライト工数を最小化できる点で、運営費削減に寄与します。
営業資料・スライド構成案・バナー生成
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推奨モデル: Nano Banana
**理由:**資料の骨子を作成する論理的構成力やスライド作成などありとあらゆる画像生成が可能です。Dify内で画像生成APIと連携させることで、バナーや資料素材の生成までを自動化するパイプラインも構築できます。
③ カスタマーサクセス・事業開発
顧客接点・意思決定支援
要件: リアルタイム性、検索精度の高さ、リスク管理
顧客対応チャットボット・製造現場トラブル対応
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推奨モデル: GPT-4o mini
理由: 月間数千〜数万件の問い合わせが発生する環境下では、トークンコストの抑制とレスポンス速度を天秤にかける必要があります。
AIチャットボットで対応できないような、複雑な事案のみ有人対応チャネルへエスカレーションさせる設計が、これからの標準体制となると考えます。
補助金調査・不動産マッチング・物流ルート最適化
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推奨モデル: Claude 3.5 Sonnet (RAG活用)
理由: データベースやWeb検索結果に基づき回答する際、参照元にない情報を捏造するハルシネーションリスクが比較的低いためです。
誤った情報が経営リスクに直結する業務においては、信頼性の高いClaudeが推奨されます。もちろん人によるファクトチェックを適宜行うフローを組むなどの運用管理を挟むことを前提としています。
OCRにおける専用APIとLLM
現場のDX化を進める上で、紙帳票にどの技術・ツールを採用すべきかは、選択によってはコストに大きく影響します。
1.Vision LLM(GPT-4o等)の採用
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適用領域: 非定型帳票、手書きメモ、コンテキスト理解が必要な文書
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メリット: 文脈から文字を推測・補完できるため、ノイズの多い画像でも意図を汲み取れます。追加のAPI契約が不要で、Dify単体で完結します。
2.専用OCRサービス(Azure AI Vision, Google Cloud Vision等)の採用
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適用領域: 厳密な座標指定が必要な帳票、大量の定型処理
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メリット: 活字の認識精度は依然として最高峰です。
まずはGPT-4oなどのVision LLMでPoCを行い、精度が要件を満たさない特殊なケース(極端に解像度が低い・特殊フォント等)においてのみ、専用OCRへの投資を検討することをお勧めします。
**おわりに
**単一のLLMモデルですべての業務をカバーできれば、運用上いろいろなことを個別で設定したり調整したりと苦労しないで済むのですが、実際にはコストと品質の両面で全業務を単一モデルで統一すると様々なエラーが発生してしまうでしょう。
GMO即レスAIでは用途や業務ごとに下記のような言語モデルの使い方をお勧めしています。
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フロントエンドなどの受付対応系は軽量モデルで高速化する
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ミドルウェアなどの思考・検索対応系は高精度モデルで品質を担保する
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バックエンドなどデータ処理が求められる場合は安定モデルで構造化する
Difyを活用することで、これらのモデルをタスクごとに適切に配置し、コストパフォーマンスと業務効率・省力化を最大化させた就業環境の構築が可能です。
GMO即レスAIでは、様々な企業様の業務フローや体制に応じた、Difyを用いた最適なAIモデル選定から、導入支援を行っております。
PoCで終わらせず、事業貢献するAI実装をご検討の際は、ぜひご相談ください。